漫才を演じられる「漫才カラオケ」
漫才といえば、日本を代表する伝統的な演芸の一つです。
これまで多くの人にとって、その楽しみ方は「テレビや劇場で観るもの」でした。
しかし、近年はM-1グランプリにアマチュアが多数参加するなど、プロだけでなく「自分でやってみたい!」という声も高まっています。
とはいえ、いざ漫才を実演しようとすると、いくつものハードルが立ちはだかります。
ボケ・ツッコミそれぞれの台詞を丸暗記しなければいけない上に、タイミングや抑揚、絶妙な“間”、そして動きや表情といった非言語的な表現も求められます。
初心者にはこれが非常に難しく、多くの人が一歩を踏み出せない要因となっていました。
そこで登場したのが「漫才カラオケ」です。
名古屋大学の研究チームは、未経験者でも気軽に本格的な漫才を体験できる支援システム「漫才カラオケ」を開発しました。
このシステムの特徴は、2人組(ボケ役・ツッコミ役)がそれぞれの役割を分担し、画面に表示される台詞や抑揚、感情表現、動作の指示に従うだけで、本物さながらの漫才を演じられるという点です。

具体的には、台詞はもちろん、「このセリフは高めの声で!」「ここは喜びの表情で!」といった抑揚や感情もリアルタイムに表示されます。
さらに、タイミングバーに合わせて動作カードも提示されるため、発話や身振り手振りの“間”も自然に再現できます。
チームは、実際に未経験者10名を対象に「漫才カラオケ」を体験してもらう実験を行いました。
その結果、誰もがスムーズに漫才を実演できただけでなく、観客も「面白い」「上手だった」と高く評価し、実際に大きな笑いが巻き起こりました。
体験者からは「聴衆を笑わせるのは気持ちよかった」「自分が面白い人間になったような気がした」といった感想も寄せられました。
これまで“見る”側だった人たちも、“演じる”楽しさや快感を手軽に味わえる――そんな新時代が始まろうとしています。