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新たな研究によると人間の真のピークは20代ではなく60歳前後に訪れる (2/2)

2025.10.19 12:00:13 Sunday

前ページ人間の総合的なピークはどこにあるのか?

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重要なのは“瞬発力”より“調和”、ピークは55〜60歳

研究の結果、「従来型モデル」と「包括型モデル」ではピークの年齢がまったく異なることがわかりました。

従来型モデルは、主に流動性知能(新しい問題を素早く解く力)を重視しており、20代前半で総合スコアが最も高くなっていました。このモデルでは、若い世代ほど脳の処理速度や柔軟な思考力が高く、年齢とともにその能力が徐々に低下していく傾向を示していました。

一方、感情知能(自分や他者の感情を理解し調整する力)、金融リテラシー、道徳的判断力といった“経験によって育つ力”も含めた包括型モデルでは、55〜60歳で明確なピークを示しました。このモデルの曲線は、若年期から中年期にかけて上昇し続け、60歳前後で最も高くなったのです。

つまり、脳の処理能力は加齢で低下するものの、それは単純に人間の能力の衰えを意味するわけではなく、複数の能力が最もバランスよく調和するのは年齢を重ねた後だということを示しています。

この結果は実社会の状況ともよく合っています。

収入や職位のピークは50〜55歳にあり、多くの国の首相や大統領が就任する年齢も50代後半から60代前半に集中しています。

つまり、人が「最も複雑な判断を下せる時期」は、社会の実情にも反映されているのです。

さらに詳しく見ると、語彙や知識を基盤とする結晶性知能は年齢とともに上昇を続け、60代でも高水準を保っていました。

金融リテラシーも60代後半まで向上しており、経験が知恵へと変わっていく様子を示しています。

また、誠実性や情緒安定性は中年で高まり、対人関係の安定に寄与していました。

感情知能や道徳的推論、そしてサンクコストの罠(投資額に応じて誤りだと感じても途中でやめられなくなる現象)への抵抗力も、年齢とともに強くなっていました。

一方、流動性知能(新しい問題への対応力)や認知的柔軟性、認知的共感(共感の敏感さ)、新しい知識を求める意欲(認知欲求〔Need for Cognition〕)は加齢で低下していましたが、それらは他の能力によって補われ、全体としての機能はむしろ上昇していました。

研究者のギニャック氏は一般向け解説の中で、「55〜60歳の強みは、複雑な課題を冷静に処理し、異なる立場の人々をまとめる力にある」と述べ、雇用における年齢バイアスの見直しを呼びかけています。

感情の制御、倫理的な判断、社会的知識といった“経験で伸びる力”も向上する、現実の暮らしにおいて、より落ち着いた判断・人間関係の安定・自分らしい価値判断がしやすくなることを意味します。

社会的な立場も安定している60歳前後は、幸福感や人生の充実感が最も実感されやすい時期なのかもしれません。

若さこそが人生の充足に重要で、歳を取るとあらゆる能力が低下して満足感も下がると認識する人は多いですが、実際の人生の安定したピークはかなり人生の後半に訪れるようです。

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新たな研究によると人間の真のピークは20代ではなく60歳前後に訪れる (2/2)のコメント

ゲスト

勢いが無い分慎重だね

    ゲスト

    じゃ、さらに10年歳を食うと、トランプみたいに分別がなくなるんだ!

ゲスト

60代で新たなピークが来るのはいいのですけど、だからと言って80代だの100歳近い人を集団の指揮者に置くのはどうかなと思いますね。

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