実験により小麦生産量を増加させることに成功
研究チームは、WUSCHEL-D1がONになったMOV小麦について、どのような影響があるのか、様々な観点から実験しました。
その結果、ある実験では、1つの穂あたりの粒数は、通常の小麦が平均119粒だったのに対し、MOV系統ではなんと204粒へと約70%増加していました。
つまり「この1つの遺伝子スイッチ」が穀物の生産性を大きく変える鍵であることが明らかになったのです。
この発見が持つ社会的・農業的インパクトは計り知れません。
人口増加や気候変動による農地・資源の制約が叫ばれる中、「同じ土地・同じ資源で、より多くの食糧を生み出す」ための新しい品種改良の方向性を切り拓く成果です。
また、WUSCHEL-D1のような「開花や実りをコントロールする遺伝子スイッチ」を標的にした、次世代のゲノム編集や育種技術への応用も期待されます。
今回の実験では、粒がやや小さくなる傾向もあり、収量(重さ)が単純に倍増するわけではありませんでした。
しかし、今後の研究次第では小麦生産量を3倍にまで増やせるかもしれません。
そして消費者や現場で気になるのが「安全性」でしょう。
WUSCHEL-D1は植物が本来持っている遺伝子であるものの、市場化には成分・アレルゲン・栄養変化などの安全性審査が必須です。
粒数増加による粒の小型化や品質面、実際の農地適応性など、今後も慎重な研究と評価が求められます。
たった1つの遺伝子スイッチで、小麦の収量を劇的に増やせる時代が近づいています。
世界の食糧問題や持続可能な農業に向けて、今後の実用化・社会実装に向けた動向にも注目できます。
こういう遺伝子が小麦以外にもあれば良いですね。
比較的種が近そうな米とかの収穫量が増やせれば良さそうです。
後は、種は全然違うと思いますが、ちょっと今後が心配なカカオとかコーヒーとかでも応用できれば良いんですが。
小麦さんのやる気スイッチを押してしまいましたか…。