若者の「脳の霧」が10年で倍増、10人に1人が「考えにくい」状態だと判明
若者の「脳の霧」が10年で倍増、10人に1人が「考えにくい」状態だと判明 / Credit:Canva
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若者の「脳の霧」が10年で倍増、10人に1人が「考えにくい」状態だと判明 (3/3)

2025.10.28 18:00:01 Tuesday

前ページコロナ前の2016年から「考えにくい」人々が激増していた

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なぜ人々は「考えにくい」状態になってしまったのか?

なぜ人々は「考えにくい」状態になってしまったのか?
なぜ人々は「考えにくい」状態になってしまったのか? / Credit:Canva

今回の研究から明確に浮かび上がったのは、若い世代を中心に「考えにくさ」を訴える人が確実に増えているという現実です。

もはやこれは一部の高齢者だけの問題でも、特定の病気を抱えた人だけの話でもありません。

私たちの身近なところで、誰にでも起こり得る「の霧」として公衆衛生上の新しい問題となっているのです。

しかも、この問題は単に若者が「集中できない」「記憶が弱くなった」と感じるだけでは終わりません。

重要なのは、この現象が社会の中でも平等に広がっているわけではないという点です。

研究によれば、経済的に苦しい人ほどこの問題を3倍も抱えやすくなっている実態が明白に映し出されました。

この増加がなぜ2016年頃からはじまったのかについて研究者たちは、いくつかの仮説を提唱しています。

1つは若者のメンタルヘルス問題に対する社会的な意識が高まり、自分の不調を素直に表現するようになったという要素が考えられます。

また、デジタル環境の普及や社会経済的な不安感の増大など、実際に脳への負荷が高まっている可能性も否定できません。

例えば、スマホで記憶を代替する現代の生活が、脳の記憶力を鍛える機会を奪ってしまったという意見も出ています。

いわば、「脳の筋肉が使われなくなって衰えている」という状態なのかもしれません。

実際、研究者の一人は、若者が自身の携帯番号をまともに覚えられない状況を指摘しています。

さらに他の研究では、高校生がスマホやSNSを長時間使用すると、その後に注意力や集中力が低下する傾向があることが示されています。

画面の刺激が頻繁に切り替わる環境に脳が慣れてしまい、「じっくり考えるモード」が働きにくくなってしまっていると考えられます。

そして、このようなデジタル環境の問題に加えて、睡眠不足、運動不足、食生活の乱れといった生活習慣が同時に悪化していることも示されています。

米国では、十分な睡眠時間(8時間以上)を取れている高校生は約4人に1人程度しかいないという調査結果もあります。

研究者たちはこうした小さな負荷が重なり合うことで、「頭がぼんやりしてまとまらない」という自覚的な困難感につながっているのだろうと結論しています。

しかし研究者は同時に、このような報告意識の変化だけで、今回の若者の「考えにくさ」の増加をすべて説明するのは難しいとも指摘しています。

つまり実際に脳の認知機能に何らかの負担や困難が増えている可能性も十分にあり、それが若者たちの主観的な困難感を押し上げているのかもしれないのです。

では、この「脳の霧」の増加に対して、私たちは具体的にどのように対応すればいいのでしょうか?

研究チームは、こうした主観的な認知の不調について、単に「個人の努力」や「自己管理」で片付けるのではなく、社会的な支援策として対策を整備することが重要だと強調しています。

特に所得や教育によって明確な格差があることから、経済的・社会的に不利な立場の若者に特に注目して対策を考える必要があります。

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若者の「脳の霧」が10年で倍増、10人に1人が「考えにくい」状態だと判明 (3/3)のコメント

ゲスト

パンデミック前だから無関係、ではなくてそこが本当のパンデミックの始まりだったとみるべきだと思いますけどね。
医者が報告する症状を訴えている人の増加以前に感染者が増えている兆候があったということです。
まあ、スマホも原因の大きな部分を占めていると思いますけどね。

ゲスト

スマホのせいやろなあ

ゲスト

マイクロプラスチックかもよ

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