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人間の1年間の「質量×移動距離」は、野生動物の40倍 / Credit:Canva
biology

人間の”移動量”は陸上の「野生動物の40倍」だと判明 (2/2)

2025.10.30 06:30:01 Thursday

前ページ人間の1年の「質量×移動距離」は、陸上の野生動物の40倍だった

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サバンナの「野生動物の大移動」でさえ、「人間のサッカーワールドカップ」レベルの移動量だった

研究は具体的な比較を通じてこのスケール感を直感的に示しています。

サバンナを横断する100万頭規模のヌーやシマウマの大移動は自然ドキュメンタリーを象徴する光景ですが、移動量としてはサッカーワールドカップやイスラム教の大巡礼のような人間の巨大イベントと同程度のようです。

また、「最も長距離の渡りをする鳥」として知られるキョクアジサシは、北極から南極までを往復しますが、体が小さいため、移動量ではオオカミに劣るという意外な事実も明らかになりました。

ちなみに陸上の動物バイオマス(生物量)は昆虫が大きな割合を占めますが、長距離を移動する種は限られるため、昆を含めても陸上側の移動量は小さく抑えられます。

また家畜やペットは、近年は放牧や自由移動が減り、飼育舎や家庭内での滞在時間が長くなっているため、バイオマスの大きさに比べて移動量そのものは伸びにくい傾向があります。

海に目を向けると、たとえばザトウクジラの長距離回遊は有名ですが、移動量としてはドイツ国内の人々の移動量と同程度だと示されます。

そして時代の変化から分かることも興味深いものです。

1850年には人間の人口は現在の約7分の1で、平均体重も小さく、ほとんどの人は生まれ育った土地の周辺で生涯を過ごしていました。

当時の移動量は現代よりもかなり抑えられていたのです。

一方、野生動物の移動量は現在より大きかったと考えられます。

実際、野生の海洋哺乳類のバイオマスは、1850年比でおよそ70%減少したと見積もられています。

かつて地球を大きく動かしていたのは野生動物でしたが、今では人間こそが質量と距離の両面で地球の動的な姿を決定づけていることが、最新研究によって明確になったのです。

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人間の”移動量”は陸上の「野生動物の40倍」だと判明 (2/2)のコメント

ゲスト

それだけ人間が野生動物を押さえつけているということでもありますね。
まあ生存競争というのはそういうものですからそれが駄目とかは全然思わないですけど。

ゲスト

歩行のみならどうなるんだろ

aerobat

体が大きければ数字が大きくなる計算方法なので、個体数でのデータが知りたい。
たしかに人間は無駄に毎日通勤・通学をしている。
都心は土地が高いので田舎に家を建てて、毎日片道3時間かけて通勤している人を知っている。

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