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Credit: canva
history archeology

エリザベス朝時代の金貨、記録的な高値で落札

2025.12.10 22:00:21 Wednesday

英国史上で最も有名な君主の一人、エリザベス1世 (在位期間:1558〜1603)

その治世中に鋳造された硬貨が、先日オークションで記録的な価格を記録しました。

正式に「エリザベス1世(1558-1603)ゴールド・シップ・ライアル 15シリング ND(1584-1586)MS63 NGC」と指定されているこの硬貨は、11月にヘリテージ・オークション(Heritage Auction)によって、372,000ドル(現在の日本円にして約5,825万円)で売却されたのです。

この売却額は、オークションで売却されたエリザベス時代の硬貨として世界記録を樹立しました。

Elizabethan era gold coin sold for record-breaking price https://www.popsci.com/science/elizabethan-gold-coin/ Multiple Records Set in Heritage’s $5.7 Million World & Ancient Coins Auction https://www.ha.com/heritage-auctions-press-releases-and-news/multiple-records-set-in-heritage-s-5.7-million-world-and-ancient-coins-auction.s?releaseId=5332

なぜ記録的な高値で落札されたのか?

この金貨は、当時のイングランドの財政状況と国際的な権力闘争を色濃く反映していました。

学者の間では、この硬貨が鋳造された背景として、著名な私掠船(事実上の海賊)であるフランシス・ドレーク卿が、スペインのガレオン船から奪った金塊が使用されたのではないかと考えられています。

この金貨は、イングランドが制海権を握り始めた時代を象徴する「力の宣言」であり、発行された数自体が非常に少なく、保存状態の良いものは「エリザベス朝時代における最も偉大な貨幣学的稀少品の一つ」と評されています。

そのため、このタイプの金貨は非常に貴重であると考えられるのです。

実際のコインがこちら。

エリザベス女王が船に乗るデザイン

この硬貨の表側には、エリザベス1世がラフ(ひだ襟)とガウンを着用し、笏(しゃく)と宝珠を持って船に乗っている姿が描かれています。

これは単なる肖像画ではなく、極めて政治的なメッセージが込められたデザインです。

当時のヨーロッパにおいて、イングランドは海洋国家としての地位を固めつつあり、この「船に乗る女王」のイメージは、アメリカ植民地化の幕開けと、そのわずか2年後の1588年にスペイン無敵艦隊を打ち破ることになる、イングランドの「海の支配」を象徴しています。

硬貨そのものが、女王による「我が国は海を制する」という大胆なプロパガンダの道具だったのです。

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