黙読中に脳内に響く「内なる声の正体」がみえてきた
黙読中に脳内に響く「内なる声の正体」がみえてきた / Credit:Canva
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黙読中に脳内に響く「内なる声の正体」がみえてきた (2/2)

2025.12.15 22:00:16 Monday

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意識は「音の設計図」を本物の声だと思い込む

意識は「音の設計図」を本物の声だと思い込む
意識は「音の設計図」を本物の声だと思い込む / Credit:Canva

今回の研究チームは、人間が黙読をしている時のの中に本当に「音の特徴に結びつく信号」があるかどうかを、確かめようとしました。

そのためにまず実験に参加した被験者10名に数時間分(約4万3千語)の物語調のニュースレビュー(技術や文化など様々な話題)を黙読してもらい、その間の脳波(頭皮で測る電気信号)を測定しました。

そして分析にあたっては「文字の見た目の特徴」、「意味の特徴」、そして「音の特徴」という3種類の説明用データを用意し、どれが脳波の変化をどれだけ説明できるかを比べました。

その結果、脳波の中に単語の音の特徴に結びつく成分が統計的に見いだされました。

さらに興味深いことに、その成分は録音した音の波形を丸ごと写したものというより、音の特徴(周波数の成分など)を運ぶ「音の設計図」が時間の順番つきで現れていることを示唆します。

コラム:音の設計図とは?

音の設計図と言っても、なんとなくイメージしにくいかもしれません。まず大前提として、「音の設計図」は“本物の音”ではありません。録音した声の波形を、そのまま頭の中で再生している、という話ではないのです。むしろ逆で、黙読のときに必要なのは「音を忠実に鳴らすこと」ではなく、「意味に到達すること」です。意味にたどり着くには、音のすべては要りません。輪郭だけで十分なことが多いのです。波形そのものではなく、音の特徴(周波数の成分など)でも意味に近づけることがあります。そこで脳は、音を“再生”する代わりに、音を特徴に変換して持ち歩く――そんなイメージが「設計図」です。たとえるなら写真と線画の違いです。線画は色も質感も消えているのに、顔の輪郭とパーツの配置さえ合っていれば「これは顔だ」と分かります。

しかしそうならば、なぜ私たちの意識は黙読時に本物の声のようなものを感じるのでしょうか。

理由の1つとして、「音の設計図」レベルの信号でも、脳の言語処理が動けば、意識の側では十分「声」として受け取れるのかもしれません。

骨格さえそろっていれば、それが声や言語の処理領域に届くことで、意識にとってはそれだけでも「これは声だ」と感じられるのでしょう。

この発見は、人が文章を理解するメカニズムに新たな手がかりを与えるものです。

読書は視覚の作業だと考えられがちですが、脳内では音の設計図を使っている可能性が示されたからです。

さらに今後は、「黙読中の声」が脳のどの場所と関わるのかを、どこが動くかを細かく見られる脳スキャンで確かめる研究も必要になりそうです。

黙読という静かな行為の裏で、どんな“音の設計図”が生産されているのか――それを知ることは、自分の内側で鳴っている声との付き合い方を、少しだけ変えてくれるのではないでしょうか。

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黙読中に脳内に響く「内なる声の正体」がみえてきた (2/2)のコメント

なるほど

速読術は身に付けていないので分かりませんが、通常の黙読と速読では、脳の活性化領域が異なるのかもしれませんね。

ゲスト

この音の設計図での他者との情報通信こそいわゆるテレパシーという超能力とされるものだけど、将来的にそれが可能になるかもしれない研究ですね。ただ、言語化の手順で本音と建前という使い分けを行うのが通常のコミュニケーションなので、心「痩せろこのデブ」言葉「あなたの将来の健康のために運動をしませんか?」のような言葉選びができなくなる問題がありそうですね。

    ひよこ

    アファンタジアで脳内に画像、映像を思い浮かべられないものです。
    黙読中の脳内の音についても、記事にあるようなリアルよりの音は一切響きません。
    音についても脳内の再現性は個人差があるのではないでしょうか?まず、この研究は内なる声の個人差から調べたほうが良いのでは?

肉ボール

オーディオアンプのスピーカー出力をOFFにするような感じで声帯を絞り呼気を送る動作をカットしてるってだけなんじゃないの?
最終出力の前段階までは同じ処理をしてると思ってるぞ

    majorei

    本当にその通りだと思いました!

ゲスト

意識しながら読んでしまった
確かに音の断片的なものが意識に浮かんでいる気がする
そこをちゃんと音にしだすと読むのが遅くなる

ゲスト

内なる声が聞こえない人はどうしてるんだろうか?

    ゲスト

    そういえば、生まれつき耳の聞こえない人は文字を読む時どのように感じているのでしょう…

ゲスト

黙読慣れすると、実際の音を意味のある声に認識する能力が低下しそう。

ソースはワイ。耳は良いけど声が意味のある音に聞こえない時や、聞き間違いが多い。

ゲスト

小説や漫画を読んでいる時に声色まで変わって聞こえるのは、より鮮明な設計図が組まれていたりするのだろうか

ゲスト

先天的に耳が聞こえない方は内なる声はあるのでしょうか?

ゲスト

黙読にかぎらず、何か考え事をしているときでも頭の中で声が再生される(独り言を口にしないで頭の中でつぶやいているうちに考えがまとまっていく)んだけど、それとは違うのかな?

    かにねこ

    先天的に読み書きが難しいとされるディスレクシアの人達であっても考え事は可能だから、黙読の時と考えるときで同じ処理がされているというのは違いそう。
    でも、もしかしたら思考様式ごとガラッと変わっているのかもしれない。言語思考じゃなくてヴィジュアルシンキングなのかも。そうだとしたら、一応説明はつく気がする。

ゲスト

 統合失調症にも関連してくるものだね。
 彼等の陽性症状は大抵、自分が頭の中で言ったことを自身では認識できず、結果として「誰かが自分の耳元で喋っている」と思い込む。これが当人にとっては凄まじい程リアルで、現実の音と区別が一切できない。
 そうやってストレスが掛かってくると、その原因である音や声に対してネガティブな思考に陥り、何者かの嫌がらせ、宇宙人の電波など斜め上の考えに耽っていくようになり、事件にまで発展する事がよくある。
 まぁ個人が苦しむ陽性より陰性の方がヤバいのだけれど(戦争、右翼、左翼、宗教、テロ、関わらなかった事は無い)
 ともあれ、こういった発見や研究なんかが、いずれ統失を完治する薬になる事を願っている。

kk

速読しようとするとき、意図的に頭の声をoffにするイメージなんです

だけど、物語を作る時や読むときは声優が読むように次々きり替わっていきます

ただ、意味を認識しやすいのは音声付きの方で、息子たちが宿題で困ると
「頭のなかで読むのをやめて、口に出して読みなさい」と伝えています

わざと音にして、耳から聞かせる
ゆっくり聞くことで何を言っていたのか認識させるという工程を踏ませています。

音なしでも何を言っているのか分かるし、読み取ることはできますが、音があると理解度が変わっていくように思います。
非言語でのイメージなども理解度に貢献しているのかもしれませんね

    ゲスト

    自分も同じです、マンガや小説では声優さんキャスティングしてその声で読んでもらっている感じです。
    「脳内再生余裕でした」状態ですね、
    キャスティング能力も個人差なのか知りたいところです。

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