軽度の外見の異常と性別違和感の関係

まず研究チームは、トルコの大学病院のジェンダー外来を受診した性別違和のある成人を集めました。
対象は、性別違和の診断を受けていて、まだホルモン治療や性別肯定手術を受けていない108人です。
(※内訳は、性別に違和感がある出生時に女性とされた人60人と性別に違和感がある出生時に男性とされた人48人でした)
比較相手として、同じ病院に「健康証明書」をもらいに来た性別違和感がない117人(全員が異性への性的指向)が選ばれました。
次にWMPASという尺度(18項目のチェック)を用いて、両方のグループの外観の小さな身体的特徴(MPA)18種類を調べました。
調査対象となった部位は、頭髪・目・耳・口・手・足など18種類で、合計得点に加えて「頭と顔面スコア」と「手足スコア」も調べられました。
結果、性別違和感のあるグループでは、ないグループに比べてMPAの合計スコアが明らかに高いことがわかりました。
これは性別違和感を抱える人々は体の小さな特徴の数や程度が全体的に多い傾向にあることを示します。
特に顔や頭部まわり(頭部領域)の違いが大きく、合計スコアでも、先に述べたように性別違和感のない人が約2.9点なのに対し性別違和感のある人は約4.6点と1.6倍になっていました。
また興味深いことに顔のMPAはランダムではなく、いくつかの項目で偏りが目立ちました(補足資料参照)。

たとえば性別違和感がある人の目は、特に出生時に女性(男性を自認)とされたで「軽い離れ気味」が増える一方「強い離れ過ぎ」は少ないという複雑な結果になりました。
また目頭(目の内側の端)には皮ふのひだが少し多い傾向がありました。
一方で耳は差が比較的はっきりしていて、性別違和感のある人では、左右で形がそろわない耳や、軽い変形のような細かなズレが多い傾向がありました。
さらに、耳の位置がやや低めという特徴は、出生時に男性とされた人(女性を自認)では目立ちましたが、出生時に女性とされた人では対照グループと同じくらいでした。
そして口周りでは、性別違和感のある人では、上あごの天井(口蓋)が高めだったり、舌に溝が多かったり、舌の表面がまだらになっている人がやや多い傾向がありました。
一方で、手足など末端部位の特徴については、出生時に女性とされた人(男性を自認)のほうで対照よりやや多く見られたものの、出生時に男性とされた人(女性を自認)の人では統計的に有意な差は見られませんでした。
これらの結果から研究者たちは性別違和感を持つ人たちの胎児期の脳の発達に、わずかな不安定さ(揺らぎ)があった可能性があると述べています。


























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