惑星なのか、それとも星のなれの果てか
この天体が研究者を悩ませている最大の理由は、「どうやって生まれたのか」がまったく分からない点にあります。
通常の惑星形成理論では、これほど炭素に極端に富んだ組成は説明できません。
また、恒星が削り取られてできた天体である可能性も検討されましたが、核物理学的に「ほぼ純粋な炭素」が生じるとは考えにくいとされています。
チームは、この系が「ブラックウィドウ型」と呼ばれる特殊な連星系である可能性に注目しています。
これは高速回転するパルサーが、近くの小さな伴星を長い時間をかけて削り取る系です。
この過程で、かつては恒星だった天体が、核融合を行えないほど小さくなり、惑星と恒星の境界に位置する存在へと変化した可能性があります。
内部で炭素と酸素が結晶化し、軽い炭素だけが上層へ浮かび上がることで、現在の奇妙な大気が生まれたのかもしれません。
この「レモン型惑星」は、惑星とは何か、恒星とは何かという根本的な問いを突きつけています。
誕生のシナリオはまだ決着がついておらず、研究者自身も「分からない部分が多いこと」を認めています。
しかし、その未知こそが科学を前進させる原動力でもあります。
2000光年彼方に浮かぶこの奇妙な世界は、宇宙がいかに多様で、予測不能な場所であるかを、あらためて私たちに教えてくれているのです。


























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