なぜ埋められ、なぜ見つからなかったのか
発見された金貨は、通称「サドルリッジ・ホード」と呼ばれています。
希少硬貨の鑑定と取引を行うケイガンズによると、これは米国内で発見された金貨の埋蔵として史上最高額級とされています。
金貨の鋳造年は1860年代から1890年代まで幅があり、缶の劣化状態もそれぞれ異なっていました。
このことから、同じ人物、あるいは同じ家系が、長い年月をかけて少しずつ金貨を同じ場所に埋めていった可能性が指摘されています。
19世紀の北カリフォルニアでは、金を地中に埋める行為は珍しくありませんでした。
当時は銀行が遠く、長年かけて手に入れた金貨を自宅に置いておくことは盗難のリスクが高かったためです。
銀行に預けられない場合、地面に埋めることが最も現実的な「金庫」だったのです。
ただし、この埋蔵金には不可解な点もあります。
多くの金貨がほとんど流通した形跡のない、極めて良好な状態だったことです。
さらに、一部の金貨はゴールドラッシュとは直接関係の薄い地域で鋳造されていました。
結局のところ、誰が、なぜ、そしてなぜ回収しなかったのかは分かっていません。
埋蔵した人物が亡くなり、家族に場所を伝えられなかった可能性が高いと考えられていますが、確かな証拠は残されていないのです。
ジョンさんとメアリーさんは、金貨の大半を売却し、借金の返済や寄付に充てました。
一部の金貨は博物館に寄贈され、数枚は家族の家宝として手元に残されています。
また、2人は宝探し目的の侵入を避けるため、今も身元や正確な場所を公表していません。
この出来事が示しているのは、宝物は必ずしも冒険の果てにあるとは限らない、という事実です。
何年も歩いてきた散歩道の足元に、10億円相当の歴史が眠っていることもある。
そう考えると、次の散歩が、少しだけ違って見えてくるかもしれません。


























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