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22歳で認知症になった男性 / Credit:Canva
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22歳で「認知症」になった男性、2年後に亡くなる (2/2)

2026.01.13 11:30:43 Tuesday

前ページ22歳で「前頭側頭型認知症」と診断、24歳で死去

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MRIで「70歳の脳」レベルの萎縮を確認

ヤーハムさんの診断の決め手の一つとなったのが、MRI(磁気共鳴画像検査)でした。

検査によって、彼のは「70歳の人の脳のように見える」と表現されるほど、著しく萎縮していることが分かりました。

ただし、これは「24歳の脳が70年分老化した」という意味ではありません。

研究者たちは、この点をはっきりと否定しています。

健康な老化では、脳の変化は非常にゆっくり進みます。

一部の領域が少しずつ薄くなっていくことはあっても、短期間で脳全体の構造が崩れることはありません。

一方、前頭側頭型認知症のような神経変性疾患では、病気そのものによって神経細胞が短期間に大量に失われます。

その結果として、画像上は「高齢者の脳」に似た萎縮像が現れるのです。

つまり、見た目が似ていても、老化による変化と病気による脳の破壊は、まったく別の現象だということです。

では、なぜここまで若い年齢で、この病気が発症したのでしょうか。

前頭側頭型認知症は、他の認知症と比べて遺伝的要因が強く関与するケースが多いことが知られています。

特定の遺伝子の変化によって、脳の神経細胞内でタンパク質の処理がうまくいかなくなり、本来なら分解されるはずのタンパク質が異常に蓄積してしまいます。

この異常タンパク質は、神経細胞の働きを妨げ、最終的には細胞死を引き起こします。

こうした仕組みのため、一部の人では、長い年月をかけてゆっくり進むのではなく、比較的若い時期から一気に病気が進行してしまう場合があるのです。

それでも、ヤーハムさんが、なぜこれほど早く発症したのかは完全に解明されたわけではありません。

そこで彼の家族は、亡くなった後にヤーハムさんの脳を研究のために提供する決断をしました。

これは研究者にとって、非常に貴重な機会です。

MRIなどの画像検査では、「どこが縮んだか」は分かりますが、「なぜそうなったのか」までは分かりません。

脳組織を詳しく調べることで初めて、どの異常タンパク質が蓄積していたのか、どの神経細胞が特に弱かったのか、炎症や免疫反応がどのように関わっていたのか、といった核心に迫ることができます。

24歳という極端な若年発症の前頭側頭型認知症は、世界的にも極めて稀です。

この1例から得られる知見が、将来の治療や予防研究につながる可能性は決して小さくありません。

ヤーハムさんの短い生涯は、認知症が「高齢者だけの病気」ではなく、老化とは異なる仕組みで若い脳をも破壊し得る病気であることを、多くの人に教えることになりました。

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