・授業に出席しただけで「ご褒美」を与えると、かえって子どもは学校に行かなくなる
・ご褒美をもらうことで、子どもは「出席しないことが普通である」といった隠れたメッセージを受け取る
・その「普通」に合わせるために、子どもはさらに学校を休むようになってしまう
夏休みが終わり、学校が再開することが憂うつでたまらない子どもも少なくはないはずです。そんな子どもたちを学校に行かせるために、親や先生は手を焼きますが、新たな研究により「学校に行ったこと」に対して「ご褒美」を与えてしまうと、かえって逆効果になってしまうことが明らかになりました。
The Demotivating Effect (and Unintended Message) of Retrospective Awards
https://www.hks.harvard.edu/publications/demotivating-effect-and-unintended-message-retrospective-awards
アメリカやイギリスのいくつかの学校において、実際に採用されている「出席ご褒美制度」。これにより生徒のやる気が促進されるどころか、生徒をさらに「サボり魔」にしてしまうことが分かったのです。
研究者らによれば、出席しただけで生徒に「ご褒美」を与えてしまえば、彼らに「出席しないことが普通である」といったメッセージを送る結果となり、その「普通」に合わせるために、子どもたちは以前にも増して学校に行かなくなると言うのです。
ハーバード大学が主導したこの研究では、日本の「中高生」に当たるセカンダリー・スクールの生徒15,000人のデータを分析。その結果、「出席ご褒美制度」が「全く効果がでていない」か「むしろ逆効果」のどちらかにしかならないことが明らかとなりました。
「ご褒美」とは、期待以上の成果を達成したときに貰えるもの。出席によりそれをゲットした生徒たちは、大人たちの期待に応えたと感じてしまい、「もっとサボってもいい」と勘違いしてしまうのです。
これは子どもに限った話ではありません。日本でも、「皆勤賞の概念はブラック企業の始まり」だという言説があります。「休むことは悪」というイメージを必要以上に植え付けることが一因です。出席することでご褒美をあげたいと思うのは、むしろ大人の都合なのかもしれませんね。
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/12465