恋愛の自由を捨て、遺伝子も断捨離して「究極の社畜帝国」を手に入れた生物がいた
恋愛の自由を捨て、遺伝子も断捨離して「究極の社畜帝国」を手に入れた生物がいた / Credit:Canva
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恋愛の自由を捨て、遺伝子も断捨離して「究極の社畜帝国」を手に入れた生物がいた (3/3)

2026.02.09 20:00:27 Monday

前ページ遺伝子を断捨離する逆進化で大帝国を作った生物

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遺伝子を捨てる進化もある

遺伝子を捨てる進化もある
遺伝子を捨てる進化もある / Credit:Canva

多くの人は「進化」と聞くと、新しい遺伝子が生まれて機能がどんどん増えていくイメージを思い浮かべると思います。

しかし今回の結果は、そのイメージにちょっとブレーキをかけます。

ゴキブリから木ゴキ、そしてシロアリへとたどる系統をならべてみると、ゲノムの大きさも遺伝子の数も、むしろだんだん少なくなっていました。

しかも失われた遺伝子の中には、精子の「しっぽ」をつくるものや、さまざまな栄養源に対応するための代謝や感覚に関わるものがふくまれていました。

研究チームは、これは「貧しい枯れ木だけを食べ、巣の外にあまり出ない」という生活への適応として、役に立たなくなった遺伝子を、長い時間をかけてそぎ落としていった結果だと解釈しています。

つまり、社会性の進化は「新しい遺伝子をたくさん足したから」ではなく、「生活に合わない機能を思いきって捨てたから」でも起こりうる、ということです。

これは、進化の教科書のイメージを少し揺さぶる、大きな意義をもつ結果だと言えるでしょう。

得る代わりに捨てるという選択が高度な社会性につながるというのは、意外でもあるでしょう。

ただ「全てのシロアリが遺伝子の断捨離で社会を作った」とまでは言い切れません。

地球上には3000種前後のシロアリがいるとされており、その中には、土を食べたりキノコを育てたりと、また違った暮らしをしているグループも多くふくまれます。

今回明らかになった「遺伝子の削減」や「精子のしっぽの消失」、「栄養とホルモンで階級を決めるしくみ」が、どの範囲まで共通しているのかは、これから確かめていく必要があります。

それでも、この研究が開いた道は広く、これからの展望はたくさんあります。

まず、より多くのシロアリやゴキブリのゲノムが読まれれば、「どのグループでどんな遺伝子が失われたのか」「どの栄養センサーやホルモンの使い方が共通で、どこからが種ごとのアレンジなのか」を、もっと細かく追いかけられるようになります。

さらに、枯れ木を分解するしくみそのものは、バイオマスエネルギーやリサイクル技術にもつながる可能性があります。

シロアリや木ゴキが持っている腸内微生物と、その活躍を支える遺伝子・ホルモンネットワークをまねすれば、人間が手に負えなかった木質のゴミを、より効率よく処理する技術が生まれるかもしれません。

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恋愛の自由を捨て、遺伝子も断捨離して「究極の社畜帝国」を手に入れた生物がいた (3/3)のコメント

読者おじさん

シロアリと人間では「高度な社会性」の定義が違うのでは…

    シンノスケ

    私もそう思います。さらに、高度かどうかというよりも「社会性」をどのように定義しているのでしょうか?
    女王アリがシロアリの社会を支配しているとは思えません。さらに、働きアリがサラリーマンのような「社畜」の生活をしているとも思えません。結構、自由にしているように思えます。因みに、シロアリにも兵隊アリがいるそうですが、この「兵隊」も曲者で、軍隊のように上官の命令があるとは思えません。
    また、「恋愛」と「自由」をどのように定義しているのでしょうか?
    それよりも、「進化」の定義です。最近の生物学の勉強をしていれば「新しい遺伝子が生まれて、機能がどんどん増えていく」というイメージを思い浮かべる人はかなり少ないように思います。

ゲスト

人間も?ビタミンCを作る機能が失われてるよね。
こういうのって復活しないもんなのかな?

ゲスト

社畜とか断捨離とか言いたかっただけの記事

うさご

「今回調べられたシロアリの一種では、よく世話され大量のエサを与えられた幼虫はむしろ一生ワーカーになるコースに入りやすく、手薄な世話や少量のエサしか与えられなかった幼虫は王や女王候補として残されやすくなります。」

のところがとても面白かったんですけど、
そうなる理由がよくわからなくて、
少しモヤモヤ…

(私の読解力不足かな)

    ゲスト

    エサが少なくなる→新しい環境に行ってコロニーを作る必要があるからじゃないかと予想

    ゲスト

    栄養や世話の状態で女王になるホルモンが出るか出ないかが決まるからですね。
    原理はホルモンですが、理屈は次のように考えられています。
    外骨格が良い個体を肉体労働をするワーカーにするのが合理的。
    女王は外骨格ではない腹部だけを大きくするので、逆にワーカーになれなかった外骨格がしょぼい個体になってもらった方が合理的と言う感じです。

    シンノスケ

    うさごさんのようなコメントが非常に良いと思います。偉そうな説教くささもなく、自慢もなく、揶揄もなく。
    本当に素直な感想だと思います。少なくとも、読解力不足ではありません。
    「よく世話され大量のエサを与えられた幼虫」というように人間に置き換えると齟齬を生じます。必要十分な餌を食べた幼虫は、必要十分な生理機能を持ち、個体としての生存本能に則った生活をしているのだと思います。ここで社会生活をしている意識はたぶんないと思います。問題は枯れ木の栄養が少なくなってきた場合です。餌が減ってくると、個体の生存本能よりも、種の保存本能が働き、生殖能力が発揮されるのかもしれません。ただし、働きアリが女王アリになるのではないようです。ハチではローヤルゼリーを与えられた幼虫が女王アリになりますが、シロアリでは飢餓が女王アリになる引き金のようです。
    実は、餌が十分にある環境では単為生殖をしている生物が、餌が枯渇してくると有性生殖をする生物は非常に多く、有名どころではミジンコや粘菌です。カビの仲間(真菌)もほとんどがそうです。アブラムシ(ゴキブリの俗称ではなく、野菜に寄生する害虫)も普通は単為生殖をしていますが、寒くなって植物が枯れてくると羽をはやして空を飛び、有性生殖をします。
    ですから、「少量のエサしか与えられなかった幼虫」ではなく、生活している環境の枯れ木を食べつくしてしまうと、種の保存のために仕方なく有性生殖をする個体が出てくるのだと思います。
    などと、かなり知ったかぶりで書きましたが、「個体としての生存本能」や「種の保存本能」がよくわからないのです。そもそも「本能」というものがよくわからないので、いつもモヤモヤします。少なくとも「遺伝」ではないと思うのですが、AI以外のどなたか教えて下さい。

タカちゃん

人間の遺伝子コドンには過去の進化の過程で何に使われていたのかな解らないコドンコードが多く有る。今回のゴキブリからシロアリへの分岐では使わないコドンコードを捨てた例であるが、では、今まで人類は古く使われてないコドンコードを何故捨てられなかったのであろうか?これからの未来でも古いコドンコードが使われる可能性が有る分岐点を待つ理由に生命の尊厳的意味は解答を持つであろうか?と思われますがいかがなものでしょうか。

ゲスト

普通に考えて、シロアリから木ゴキ、そしてゴキブリになったのでは???
そう考えると、全て合点がいきます。
そこになぜ言及しないのか不思議です。
研究者はバカなのですか???

    ゲスト

    本気ならぜひ学会で発表してください
    何百本もの先行研究を覆す大発見になるはずです

    小児科医師(ゆとり教育)

    非常に面白いアイディアだと思います!

    一つ疑問なんですが、シロアリから木ゴキブリ→ゴキブリと進化した場合、化石の出土年代もその順になっているのが理にかなっています。実際は

    原生ゴキブリ(roachoids)約300 Ma
    現世型ゴキブリ(クラウンBlattodea)約160〜130 Ma
    木ゴキブリ(Cryptocercus 系統)化石ほぼなし(分岐推定:約170〜150 Ma)
    シロアリ 約130 Ma

    となっており、必ずしも現世型ゴキブリから木ゴキブリやシロアリが進化した、というわけではないようですね。ただ、原生ゴキブリから進化したことは確かなようです。

    専門家ではないので用語の使い方とか間違っているかも知れませんがすみません。

ハル

少しだけ、ヤプーの世界観と似てる箇所があるなぁと思いました。
尾籠な話のところで恐縮なのですが。

ゲスト

そうなったから遺伝子が欠落したのか
遺伝子が欠落したから適応できる者が生き残ったのか
どっちなんでしょうね?

    ゲスト

    たまたまある環境では一部の遺伝子が遺伝子増殖において役立たずなので、そういう一部の遺伝子が減っていった
    ということかと

    どんな生物でも遺伝子は各細胞の中心部分にあり、
    遺伝子が細胞を形づくるから生物が成立します。
    当たり前と言えば当たり前ですが、「生物の体や脳が変わる→遺伝子が変わる」なんてことは起こらないはずです

シンノスケ

「社畜」という言葉は、1990年の流行語で安土敏の小説に出てくるそうですが、シロアリさん達の考えとしては、「恋愛の自由を捨て、組織のためだけに一生働く」という二択の意識はたぶんないと思います。
まず、一生、毎日子供を生み続ける「女王」なりたいですか? この女王には自由もなく働きアリに何かを命令する権限もないのです。ただ与えられた餌を食べ子供を毎日生むだけなのですから。
逆に「働きアリ」は組織のためにだけ働いているのでしょうか? 有名なアリの法則というのがあり、2割はよく働き、6割りは普通に働き、残りの2割りは怠けるそうです。また、兵隊アリになる働きアリもいて、外敵を攻撃するそうです。つまり働きアリは自分の意思あるいは本能によって、適当に働き、餌を食べて、気楽に生きているようです。普通は子供を作ろうとは思わないはずです。あの「女王」を見ていれば当然かもしれません。
たぶん、「究極の社畜帝国」になった理由は、四季のある広大な世界を目指さず、枯れ木の中という暗い閉鎖空間で生活できるようになったからです。雨風を凌げて、暖かく、外敵もなく、周り中に餌がある王国に住んでいるのですから、シロアリの極楽です。
また、このような閉鎖空間の社会では無駄な遺伝子は必要ないので断捨離するのも当然だと思います。シロアリ以外にも、閉鎖空間の社会で生活するようになって、無駄な遺伝子を捨てた寄生あるいは共生生物がいます。例えば、植物に寄生するファイトプラズマです。植物の師管に住むようになった細菌で、硬い細胞壁も作らず、アミノ酸や脂肪酸を合成する遺伝子や呼吸系の遺伝子すら断捨離しています。さらに、シロアリの腸内に共生している細菌ブフネラも同じように、遺伝子を断捨離しています。このブフネラの起源は大腸菌ですが、そのゲノムは大腸菌の1/7の小ささです。
生物間の共生と寄生の関係がシロアリのような社会集団を作っているのかもしれません。
因みに、社畜人間にも腸内細菌が共生し、全ての細胞にはミトコンドリアが共生しています。

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