ロボットという言葉が生まれる以前の「ロボット」
作品の内容は極めてシンプルです。
舞台は時計や自動人形を作る工房のような背景です。メリエス自身が演じる魔術師ギュギュスが、ピエロ姿の自動人形を台座の上でゼンマイを巻いて動かします。
巻き上げられた人形は歩行杖を振り回し、やがて魔術師を攻撃します。魔術師は巨大なハンマーで応戦し、叩くたびに自動人形は小さくなり、最後は消滅します。
ここで注目すべきなのは、この「自動人形(オートマトン)」が単なる動くオブジェではなく、創造主に敵対する存在として描かれている点です。
ロボットという言葉自体は1920年に、チェコの作家、カレル・チャペックの戯曲『R.U.R.』で初めて使われました。
しかしメリエスはそれより20年以上前に、人造の存在が暴走し、人間に反撃する物語を映像化していたのです。

もちろん、当時の「オートマトン(自動人形)」はゼンマイ仕掛けの機械であり、現代的な意味でのロボットではありません。
しかし、物語構造としては今日のロボット映画と驚くほど共通しています。
このテーマはその後の映画史に受け継がれます。
たとえば1919年のサイレント映画『The Master Mystery(ザ・マスター・ミステリー)』では、「人間の脳を持つ機械的存在」が人間を追い回します。
さらに20世紀を通じて、ロボットはしばしば巨大で制御不能な存在として描かれてきました。その原型が、すでに1897年の45秒間に凝縮されていたことになります。
ロボットへの不安は、すでに130年前から始まっていた?
人工知能や自律型ロボットが現実の社会に入り込みつつある現代において、「人間が生み出した存在が制御不能になる」というテーマはますます現実味を帯びています。
しかしその不安は、決して現代特有のものではありませんでした。
1897年、まだ映画という技術そのものが誕生したばかりの時代に、メリエスはすでにその恐れを笑いとスラップスティックの形で描いていたのです。
ガレージに眠っていた古いフィルムは、単なる歴史的遺物ではありませんでした。
それは、私たちがいま直面している問いが、実は130年以上前から繰り返されてきたものであることを示す証拠でもあります。
映画史上初のロボットは、未来を予言していたのかもしれません。





























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