なぜ物語は記憶を強くするのか?
研究者たちはさらに一歩進めて、story processing(物語処理) と survival processing(生存処理) を組み合わせたらどうなるかも調べました。
もし両者が別々の仕組みで記憶を高めているなら、組み合わせればもっと成績が上がりそうです。
そこで追加実験では、「草原で生き延びる状況を想像しながら、提示された単語を使って短い物語を書く」という条件が作られました。
ところが結果は意外でした。
生存処理と物語処理を組み合わせても、記憶成績はそれほど上がらなかったのです。
研究者たちはこの結果を、両者がかなり似た認知メカニズムを使っている可能性を示すものだと解釈しています。
では、今回新しく記憶に役立つことが判明した「物語を作る方法」は、なぜ効果的なのでしょうか。
研究者らは、少なくとも2種類の処理が関わっている可能性が示しています。
ひとつは、複数の情報のつながりを捉える関係処理です。
物語を作ると、単語同士をばらばらのままにせず、「何がどこでどうつながるのか」を考えることになります。
もうひとつは、各単語の違いや特徴に注目して覚える単語ごとの特徴に注目する処理です。
つまり物語は、情報の「つながり」と「個性」の両方を同時に意識させるため、記憶に残りやすいのだと考えられます。
人類は文字を持つ以前から、危険な出来事や生き延びるための知恵を、歌や伝承、物語の形で伝えてきました。
こうした歴史を踏まえると、人間の記憶が物語に適応していても不思議ではないと研究者たちは考えています。
この研究は教育への示唆も持っています。
もちろん今回の実験は無関係な名詞リストを使ったもので、授業そのものを直接調べたわけではありません。
ですが、情報を物語の形で整理すると覚えやすくなる可能性が示されたことで、講義や学習内容の伝え方にもヒントが生まれます。
私たちは、ただ情報を暗記するよりも、そこに筋道や場面や流れがあるほうが覚えやすいのです。
最強の記憶術とは、情報を“物語に変えること”なのかもしれません。



























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