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仕事への意欲が高い人ほど職務とは無関係な追加業務を振られやすい (2/2)

2026.03.29 22:00:32 Sunday

前ページ意欲がある人ほど負担が増える? 4,300人のデータが示す「熱意の代償」

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組織の崩壊につながる危険

研究チームがさらに詳細な分析を行ったところ、上司と部下の間には「仕事の満足度」に関する深刻な認識の乖離があることが判明しました。

マネージャーたちは、追加の業務を割り当てても部下の満足度はわずか(0.2ポイント程度)しか下がらないだろうと予測していました。

しかし、実際に仕事を増やされた従業員たちの満足度は、マネージャーの予測の5倍にあたる1.0ポイントも低下していたのです。

また、マネージャーたちは「仕事を楽しんでいる人はストレスに強く、燃え尽きにくい」という誤った思い込みを抱いていることも確認されました。

実際には、内発的動機づけ、つまり仕事そのものに意味や楽しみを見出している人であっても、過度な負担があれば同様に疲弊し、本来の業務のパフォーマンスを落とすおそれがあります。

この問題の恐ろしい点は、一度きりの偏りでは終わらないということにあります。

研究チームが6日間にわたる業務割り当てのシミュレーションを行ったところ、特定の意欲的な部下に仕事が集中し続けるという「不公平の固定化」が確認されました。

こうした不均衡な状態が続くと、組織全体の公平感が失われ、優秀な人材ほど疲弊して去ってしまうという、組織にとっての損失に繋がる恐れがあります。

一方で、この研究ではこうした心理的なバイアスを抑制するための具体的な方法も示されています。

一つは、タスクが発生するたびにその場で割り振るのではなく、複数のタスクをまとめた上で均等に分担を割り振ることです。

この方法を取るとマネージャーは全体の業務量を俯瞰することができ、特定の個人に仕事が偏っていることに気づきやすくなって、公平な業務の分配が行われるようになりました。

もう一つは、管理者に対して「熱心な従業員でも、追加業務によって燃え尽きるリスクがある」という事実を教育することです。

こうした知識を事前に得るだけで、マネージャーが特定の従業員に依存する傾向は大きく弱まりました。

この研究が対象としたのは、主に「本来の評価に繋がりにくい付随的な業務」ですが、これが日本の職場で言われる「やりがい搾取」と地続きの問題であることは明らかです。

日本のような周囲への配慮を重んじる職場環境では、こうした「頼みやすい人への集中」がより深刻な形で現れる可能性があると考えられます。

熱意は、決して無限に湧き出る魔法の資源ではありません。

マネジメント側には、個人の善意に甘えるのではなく、その意欲を保護すべき大切な資産として管理し、公平に分配する姿勢が求められていると言えるでしょう。

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