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キリストが「水をぶどう酒に変えた」奇跡の場所が判明

2018.09.04 Tuesday

Credit: Pen News / 洞窟の入り口
Point
・キリストが水をぶどう酒に変えるという奇跡を起こした場所は、イスラエルの村「キルベト・カナ」である可能性が高い
・「キルベト・カナ」で見つかった巨大地下トンネル網の跡から、祭壇や石器だけでなく、ぶどう酒に変わった水が入っていたと思われる6つの石がめも発見された
・旧約聖書、新約聖書、ラビ・ユダヤ教の文献、巡礼者が記した書物にはいずれも、奇跡を起きた場所が「キルベト・カナ」であることを支持する記述がある

水をぶどう酒に変えたというイエス・キリストの「最初の奇跡」の話を知っていますか?この奇跡がどこで起きたのかは、長い間謎に包まれていました。

『ヨハネの福音書』では、「カナの婚礼」に招待されたキリストが、水をぶどう酒に変えるという奇跡が描かれています。イスラエルのガリラヤ地方にある「カナ」という村で開かれた結婚式に、キリストは聖母マリアと弟子たちとともに招かれました。しかし、宴会の途中でぶどう酒が底を突いてしまうという事態が起こります。そこでキリストが、水をぶどう酒に変えるという奇跡を起こしたのです。

これまで聖書学者たちは、イスラエルのガリラヤの村々の多くを「カナ」の候補地として論じてきましたが、それを立証できた者は一人もいませんでした。一方で、多くの巡礼者たちは、イスラエル北部の町クファル・カナこそが「カナ」に違いないと信じてきました。しかし今回候補にあがったのはクファル・カナではなく、さらに北へ10キロほど上った、丘の中腹に位置するガリラヤの村でした。

その村の名はキルベト・カナ。紀元前323年から紀元後324年にかけて存在したユダヤ人の村です。この村で行われた発掘調査で、この場所でキリストが「最初の奇跡」を起こしたことを示す手がかりが、数多く発見されました。

Credit: Pen News

発掘調査では、礼拝に使われた巨大地下トンネル網と思われるものが発見されました。そのトンネル網の跡からは、十字架やギリシャ語で主イエスを意味する「キリエ・イエソウ」に関する文献が見つかっています。また、祭壇や、中に石器の残骸が入った棚も発見されました。さらに、考古学者たちは6つの石がめも発見しています。これらが、聖書で描かれる「ぶどう酒に変わる水が注がれる6つの石がめ」の記述にそっくりだというのですから、信憑性はかなり高そうです。

Credit:Pen News / 洞窟の内部に聖書の記述と似た「水がめ」があった

グループを率いるトム・マクロウ博士によると、実はキルベト・カナ以外の3つの地点でも、そこが「カナ」である可能性を示唆する有力な証拠が見つかっているのだとか。ただし、これらの候補地では、キルベト・カナほど説得力のあるまとまった証拠は見つかっていないと、マクロウ博士は語っています。

「私たちは巡礼者たちが礼拝に使った巨大な洞窟群を調査してきました。この地下トンネル網は5世紀末から6世紀初めにかけて使われはじめ、12世紀の十字軍の時代に入るまで使用されました。この時期に生きた一人の巡礼者が記した書物には、巡礼者たちがガリラヤのカナに到着した際にしたことや、見たことが記述されていますが、これらは洞窟群で発見された一連の証拠とぴったり一致するのです。さらに、この巡礼者のカナに関する記述は、キルベト・カナがある場所と地理的に一致し、彼のたどった順路とも論理的にぴたりと符合しています」と、マクロウ博士は説明しています。

旧約聖書、新約聖書、ラビ・ユダヤ教の文献はいずれも、低地ガリラヤ地方にあるガリラヤ湖近くのユダヤの村として「カナ」を記述しており、キルベト・カナはこれらの基準をすべて満たしているようです。

なんとも歴史のロマンを感じるこの新発見。6つの石がめを実際に見てみたいものです。

古代マヤの都市を治めていた「王の石像」が発見される

via: ancient-code / translated & text by まりえってぃ

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