子供の嘘は能力か、それとも道徳か?
嘘という行為は、単に口先でごまかすことではありません。
相手が何を知らないかを考え、そのうえで本当ではない情報を伝える必要があります。
つまり嘘には、相手の心の状態を推測する力が必要です。
けれど同時に、子供は幼いころから「嘘は悪いことだ」とも教えられます。
嘘には、能力だけでなく道徳も関わっているのです。
ここで発達心理学の研究には、ひとつ難しい点があります。
子供がある場面で嘘をつかなかったとしても、それが「まだうまく相手をだませないから」なのか、それとも「悪いことだからやらなかった」のか、行動だけでは見分けにくいのです。
そこで今回の実験では、主に3歳から6歳台の子供たちが参加しました。
子供はステッカーを2つのカップのどちらかに隠し、実験者がその場所を当てます。
このとき子供はヒントを出しますが、実験者は子供が指したカップを必ず開けます。
そのため、相手を騙して別のカップへ導くほうが有利になる仕組みです。
ただし研究者は、子供に「嘘をつきなさい」と直接指示したわけではありません。
そして一部の子供には、本番の前に「ふつうは間違った答えを言うのはよくないけれど、このゲームでは正しい答えでも間違った答えでもよく、勝つために好きに言ってよい」といった内容を伝えました。
研究者たちは、この説明によって道徳的なためらいが弱まり、子供はより多く嘘をつくようになると予想していました。
ところが結果は逆でした。
許可を与えられた子供のほうが、むしろ嘘をつく割合が低くなる傾向が見られたのです。
いったいなぜでしょうか。より詳しい結果を次項で見ていきます。




























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