「思考のクセ」が気分と結びついている
今回の研究で重要なのは、神経症傾向の高い人が「嫌な出来事に強く反応する」だけではなく、何もしていないときの思考にも特徴が現れていた点です。
人は何もしていないとき、自然と何かを考え始めます。
次の予定、昔の出来事、誰かとの会話、将来への不安など、頭の中にはさまざまな話題が浮かびます。
しかし、その思考の行き先は人によって違います。
神経症傾向が高い人では、この思考の流れが、問題や不確実性に向かいやすい傾向がありました。
たとえば「今抱えている問題」や「これからどうなるか分からないこと」に意識が向きやすかったのです。
一方で、これから達成したい目標、生活の中の良いこと、人間関係といった内容には、比較的思考が向きにくい傾向がありました。
ここで注意したいのは、研究が示しているのは「思考が感情を一方的に作る」と断定するものではないという点です。
ただ、実験では「何を考えているか」と「その瞬間の気分」が強く結びついていました。
つまり、何も悪い出来事が起きていなくても、頭の中で問題や不確実性について考えている時間が長くなれば、その時間は不快な気分と結びつきやすくなります。
反対に、良いことや目標について考えている時間は、快い気分と結びつきやすいのです。
この結果から、神経症傾向を理解するうえでは、外からのストレスにどう反応するかだけでなく、「何もしていないとき、自然にどんなことを考えやすいか」も重要だと分かります。
これは日常の感情を考えるうえでも大切な視点です。
私たちは環境によって気分が左右されると考えがちですが、今回の結果は、特別な出来事がない時間に頭の中で何を考えるかも、気分と深く関わることを示しています。
もちろん、この研究にも限界はあります。
観察されたのは比較的短時間の思考であり、長期的な思考習慣を完全に捉えたわけではありません。
また、ある思考が次の思考を呼ぶような「思考の連鎖」までは、まだ直接調べられていません。
それでも、この研究は一つの重要な可能性を示しました。
「何もしていないとき、自分の心はどこへ向かうのか」
その答えが、日々の感情の土台となっているのかもしれません。


























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