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Credit: canva
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あくびをすると脳に「知られざる動き」が起きていたと判明 (2/2)

2026.05.03 21:00:41 Sunday

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脳の「掃除」や「冷却」に関わる可能性

では、なぜあくびのときに脊髄液や血液の流れが変わるのでしょうか。

チームは、現時点では断定できないと慎重に述べていますが、いくつかの興味深い可能性を挙げています。

一つは、あくびが脳内の老廃物の移動に関わっている可能性です。

脳は活動する中で老廃物を生み出します。

こうした不要な物質の排出には、脳脊髄液の流れが関係していると考えられています。

アルツハイマー病やパーキンソン病、認知症などの神経変性疾患では、脳内や脳周囲に老廃物が蓄積することが関係している可能性が指摘されています。

そのため、あくびが脳脊髄液の流れを変えるという今回の発見は、加齢や神経変性疾患の研究に新しい視点を与えるかもしれません。

ただし、ここで注意が必要です。

今回の研究は、「あくびをすれば脳の老廃物が除去される」と証明したわけではありません。

あくびの最中に脳脊髄液の流れが変化することを示した研究であり、その変化が実際にどの程度、老廃物除去に役立つのかは今後の課題です。

もう一つの可能性は、脳の温度調節です。

人間の脳は、体のほかの部分よりも最大で摂氏1度ほど高くなることがあり、脳から出ていく静脈血は、入ってくる動脈血よりわずかに温かいとされています。

今回の研究では、あくびの際に比較的冷たい動脈血が頭蓋内へ流れ込む量が増える様子も確認されました。

そのためチームは、あくびが脳の熱を逃がし、温度を安定させる仕組みに関わっている可能性もあると考えています。

脳は温度変化に敏感な器官です。

熱くなりすぎれば、細胞の損傷やけいれん、脳の腫れなどのリスクが高まります。

だからこそ私たちの体には、血流や発汗など、温度を調節する仕組みがいくつも備わっています。

あくびもその一部なのかもしれません。

今回の研究は参加者22人という小規模なものであり、調べられたのも映像で誘発された伝染性あくびです。

眠気や起床時、就寝前に自然に出るあくびでも同じことが起こるのかは、まだ確認が必要です。

それでも、あくびが深呼吸とは異なる形で脳脊髄液と血流を動かすことをリアルタイムMRIで示した点は、非常に興味深い発見です。

私たちが何気なくしているあくびの裏では、脳を守る液体と血液が、ほんの一瞬だけ特別な流れを作っているのかもしれません。

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