物質と反物質が手を取り合い「1つの波」として揺れていたと判明──100年の空白を埋める世界初観測
物質と反物質が手を取り合い「1つの波」として揺れていたと判明──100年の空白を埋める世界初観測 / Credit:Canva
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物質と反物質が手を取り合い「1つの波」として揺れていたと判明──100年の空白を埋める世界初観測 (3/4)

2026.05.11 21:40:20 Monday

前ページ物質と反物質のペアに起きた、奇妙な一体化

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なぜ物質と反物質が「ひとつの波」になれるのか

なぜ物質と反物質が「ひとつの波」になれるのか
なぜ物質と反物質が「ひとつの波」になれるのか / Credit:Canva

別々の粒子なのに、なぜ一緒に波打てるのか。

じつは量子力学では、2つの粒子が力で束縛されると、その動きは自然に2つの成分に分かれます。

① ペア全体が空間をどう移動するか(重心の動き)

② 2つの粒子が互いのまわりをどう回り合っているか(内部の動き)

そして、外の世界──たとえばグラフェンの格子──に対して「波」として広がるのは、①の重心の動きだけです。

内部でぐるぐる回り合う②の運動は、回折のパターンには現れません。

二人三脚のレースを想像してみてください。

2人の走者がバラバラに走れば、それぞれの歩幅で進みます。

しかし足をしっかり結んだ瞬間、2人の体はひとつのランナーになり、歩幅もペースも合体した体で決まる。

8.1ミリに現れたピークは、まさに「2人が足を結んだ状態で走っている」証拠でした。

ちなみに、この原理自体はポジトロニウムに限った話ではありません。

水素のような普通のペア(陽子+電子)でも同じく、束縛されたペアは全体としてひとつの波として振る舞います。

量子力学のごく基本的な法則で、物質と反物質の組み合わせだからといって例外にはなりません。

ただし、水素のように質量差が大きい系では、ポジトロニウムほど「2倍ずれる」という単純で見やすい判定にはなりません。

陽子は電子の1836倍も重いため、質量差が大きいからです。

ポジトロニウムは質量がぴったり1対1だからこそ、ピーク位置がちょうど2倍ずれ、決定的な判定ができたのです。

次ページ弱点だらけだからこそ、未来の物理を開く

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