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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
history archeology

950年前の「ディンゴの墓」を発見ーー500年に渡り「お供物」が続いていた証拠も (2/2)

2026.05.19 17:00:10 Tuesday

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死後500年続いた「お供物」の意味

この発見が特に注目される理由は、ディンゴが丁寧に埋葬されていたことだけではありません。

ディンゴは、川のイガイの殻などが積み重なった貝塚の中に埋葬されていました。

放射性炭素年代測定によると、ディンゴの埋葬は今から916〜963年前のものとされています。

ところが、同じ貝塚から見つかったイガイの殻の一部は、ディンゴの遺骸よりも数百年新しいものでした。

これは、ディンゴが埋葬された後も、人々が何世代にもわたってその場所を訪れ、川のイガイの殻を加え続けていたことを示しています。

では、なぜ人々はそこに貝殻を置き続けたのでしょうか。

この解釈で重要な役割を果たしたのが、バーキンジの長老たちの知識です。

チームによると、長老たちはこうした継続的な貝殻の追加を、ガーリ(先住民族たちによるディンゴの呼び名)を祖先として敬う「給餌」の儀礼だったと説明しています。

ここでいう「給餌」は、生きた動物に食べ物を与えるという意味ではありません。

亡くなった存在を忘れず、供物を通じて関係を保ち続ける行為です。

研究者たちは、このような墓への儀礼的な「給餌」が、考古学的に明確に確認された例としては、世界で初めてとみられると報告しています。

重要なのは、この行為が一度きりではなかった点です。

貝殻は数年や数十年ではなく、およそ500年もの間、追加され続けていました。

個人の記憶を超え、世代をまたいで「この場所に眠るガーリを敬う」という文化的記憶が受け継がれていた可能性があります。

つまりこの墓は、古代の「ペットの墓」というだけではありません。

生前は仲間として世話され、死後は祖先のように記憶され続けた、ディンゴと人間の深い関係を示す場所だったのです。

この発見が教えてくれるのは、過去の人々と動物の関係が、私たちの想像よりもはるかに豊かだったということです。

バーキンジの人々にとって、ガーリは単なる狩りの道具でも、キャンプの周りにいた野生動物でもありませんでした。

傷つけば世話を受け、死ねば丁寧に葬られ、さらに何世代にもわたって供物を捧げられる存在でした。

950年前の小さな骨と貝殻の山は、人と動物の絆が、生と死の境界を越えて続いていたことを静かに語っています。

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