鳥の網膜は「酸素ゼロ」で動いていた——血管すら排除して何を目指したのか?
鳥の網膜は「酸素ゼロ」で動いていた——血管すら排除して何を目指したのか? / Credit:Canva
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鳥の網膜は「酸素ゼロ」で動いていた——血管すら排除して何を目指したのか? (5/5)

2026.05.20 19:30:51 Wednesday

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人間の医療のヒントになるかもしれない

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Credit:Canva

最後に、この発見が私たち人間にどう関わってくるかの話です。

人間の脳は、酸素がなくなるとせいぜい1分しか持ちません。

脳の血流が止まる脳卒中が、ひと度起これば命に関わる深刻な病気である理由は、まさにここにあります。

そんな私たちから見て、鳥の網膜は驚くべき存在です。

人間の脳が1分で機能を失う状況を、生涯ずっと、正常な状態で乗り越えているのです。

「酸素がない状態でも組織が壊れない方法」を、自然はすでに何百万年もかけて発明していたわけです。

ニエンガード博士はこう語ります。

「自然は、人間を病気にさせる『鳥類の生理学的問題』を、すでに解決してくれていたのです。この進化的な解決策を理解することで、酸素欠乏のもとで組織が機能不全に陥る理由や、そうした病気の治療法について、新たな考え方が生まれることを期待しています」

ただし、いますぐ脳卒中の薬ができる、という話ではありません。

基礎研究から実際の治療応用まで、おそらく数十年単位の道のりが必要でしょう。

それでも、自然界には私たちがまだ気づいていない「解答例」がたくさん眠っていることを、この研究は教えてくれます。

常識として「神経組織は酸素なしでは死ぬ」と思い込んでいたところに、進化はとっくにその常識を破る答えを用意していたわけです。

ダムスガード博士は最後にこう語っています。

「私たちにはできないことを成し遂げているこれらの動物たちから、学ぶべきことはたくさんあります」

夜空を渡っていく渡り鳥たちの目のなかでは、今この瞬間も、恐竜の時代から受け継がれてきた仕組みが、静かに動き続けているのかもしれません。

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