「海のTレックス」は、同種同士でも争う荒々しい捕食者だった
ティロサウルス・レックスという名前は非常にキャッチーですが、この動物はティラノサウルスの仲間ではありません。
陸上のティラノサウルス・レックス(Tyrannosaurus rex)が恐竜であるのに対し、ティロサウルス・レックス(Tylosaurus rex)はモササウルス類という海生爬虫類です。
ただし「王」と呼びたくなるだけの迫力は十分にありました。
新種T. rexの化石には、強い顎や首の筋肉に関係する特徴が見られます。
これは、獲物に噛みつく力や、噛みついた相手を押さえ込む力に優れていた可能性を示しています。
さらに、T. rex には細かな鋸歯を持つ歯がありました。
ただし、ここで注意したいのは、「頭蓋骨を砕く噛む力が実測された」といった話ではないことです。
確実に言えるのは、顎や首の筋肉の発達を示す骨格上の特徴があり、強力な捕食者だったと考えられる、という範囲です。
それでも、この新種がかなり荒々しい動物だった可能性は、化石の損傷からもうかがえます。
ペロー自然科学博物館に所蔵されている「ブラックナイト」と呼ばれる標本では、吻部(ふんぶ)の先端が失われ、下顎にも骨折が見られます。
研究者たちは、このような損傷が同じT. rexの個体によって引き起こされた可能性が高いと考えています。
つまりT. rexは、獲物を襲うだけでなく、同種同士でも激しい争いをしていたかもしれないのです。
巨大な体、強い顎、鋸歯のある歯、そして同種間闘争の痕跡。
これらを合わせると、ティロサウルス・レックスは白亜紀の海で非常に存在感のある頂点捕食者だったと考えられます。
新種の発見は、テキサスの古代海洋生態系の重要性を示すと同時に、博物館の棚に並ぶ化石が、今もなお新しい物語を語り出すことを教えてくれます。




























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