6つの食事法の中で「DASH食」が最も脳の健康に関連
今回の研究では、研究チームは米国の大規模コホートを用いました。
対象者は合計15万9347人で、食事内容は約4年ごとに長期間記録されました。
チームは、参加者の食事が6つの健康的な食事パターンにどれほど近いかをスコア化しました。
1つ目が「AHEI-2010」で、慢性疾患のリスク低下を意識して作られたもの。これが「地中海食」に最も近い食事法。
2つ目が「健康的植物性食品指数」で、植物性食品を多く食べているかを意識したもの。
3つ目が「プラネタリー・ヘルス食指数」で、人間の健康だけでなく、地球環境への負荷も意識した食事。
4つ目が「rEDIH」で、インスリンが過剰に出やすい食事パターンかどうかを意識したもの。
5つ目が「rEDIP」で、体内炎症を起こしにくい食事かどうかを意識したもの。
6つ目が「DASH食」です。
そのうえで、参加者が後年に「記憶力や認知機能が落ちた」と感じているか、さらに一部では客観的な認知機能検査の結果も調べました。
結果として、6つの食事パターンはいずれも、健康的な食事に近いほど認知機能の低下リスクが低い方向の関連を示しました。
つまり、脳の健康に良い食事はDASH食だけ、というわけではありません。
しかし、その中でも最も強い関連を示したのがDASH食でした。
DASH食への遵守度が最も高い人たちは、最も低い人たちに比べて、主観的認知機能低下のリスクが約41%低いことと関連していました。
また、DASH食に近い食事をしていた人たちは、客観的な認知老化テストや作業記憶テストでも、より若い認知年齢に相当する結果を示していました。
特に注目されるのは、この関連が中年期の食事でも見られた点です。
45〜54歳ごろからDASH食に近い食事をしていた人では、後年の認知機能低下リスクの低さとの関連が目立っていました。
これは、脳の健康を守る食習慣は、高齢になってから急に始めるものではなく、中年期から積み重ねるものかもしれないことを示しています。
ただし、この研究は観察研究です。
そのため、DASH食をすれば認知症を防げる、あるいは脳が若返ると断定することはできません。
健康的な食事をしている人は、運動習慣、喫煙、体重、医療へのアクセスなど、他の生活習慣も異なる可能性があるからです。
それでも、血圧や血管の健康を守るDASH食が、脳の老化とも関連していた点は重要です。
脳は細い血管から酸素や栄養を受け取りながら働いています。
そのため、心臓や血管に良い食事が、長い目で見れば脳にも良い方向に働く可能性があります。
DASH食は、特別なサプリメントや極端な食事制限ではありません。
野菜、魚、豆類、海藻、低脂肪乳製品を増やし、塩分、加工肉、甘い飲み物、揚げ物を控えるという、地味ですが続けやすい食習慣です。
今回の研究は、脳の健康を守る鍵が、意外にも「血圧を守る食事」の中にあるかもしれないことを示しています。
心臓に良い食事は、脳にとっても良い食事なのかもしれません。






























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