女王を守るため、農薬の一部は卵へ移っていた
詳しく調べると、女王バチは働きバチに比べて、体内の農薬量をかなり低く保っていました。
10日目には、働きバチの農薬蓄積量が女王バチの約55倍に達していました。
これは、働きバチが餌を処理し、女王に届く農薬を減らしているためだと考えられます。
女王バチは外へ採餌に行かず、働きバチからローヤルゼリーを与えられるため、直接的な曝露も少なくなります。
しかし女王は完全に無傷だったわけではありません。
慢性的な曝露が続くと、女王の体にも農薬が入り、さらにその一部が卵へ移っていました。
10日目には、卵の農薬濃度が女王バチ本体の5〜10倍に達していたと報告されています。
親の体内にある汚染物質が卵へ移る現象が確認されたのです。
研究チームは、卵での農薬蓄積速度が女王本体より10倍以上高かったことから、農薬がただ流れ込んだだけでなく、卵の形成過程で集まりやすくなっていた可能性を指摘しています。
これは女王にとっては、自分の体内負担を下げる手段になるかもしれません。
しかし卵にとっては、発達へのリスクが高まる可能性があります。
今回の研究では、農薬を受け取った卵がその後きちんと孵化するのか、幼虫として正常に育つのかまでは追跡してません。
現時点で言えるのは、慢性的な農薬曝露のもとで、女王バチの体内負担の一部が卵へ移っていたということです。
さらに、女王の存在そのものが、巣全体の農薬分布を変える可能性も示されました。
女王がいるコロニーでは、農薬の総量が大きく増えたわけではない一方で、働きバチやワックスなど、農薬がたまる場所の分布が変化していたのです。
この研究は、ミツバチの巣では、女王、働きバチ、卵、巣材がつながった1つの防御システムとして働いていることを示しました。
最終手段としては、女王と群れの未来を守るために、農薬の負担を卵へ移す可能性もあるようです。


























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