脳の「掃除機能」の低下が、「睡眠障害」や「ブレインフォグ」と関係していた
研究でまず示されたのは、ME/CFS患者の全体的なDTI-ALPS指数が、健康な対照群より有意に低かったことです。
これは、ME/CFSの人では、脳の老廃物処理システムがうまく働いていない可能性を示します。
さらに左右の脳を分けて調べると、右半球ではME/CFS群のDTI-ALPS指数が健康な人より低くなっていました。
一方で、左半球では有意な差は確認されませんでした。
つまり今回の研究では、グリンパティック機能の低下がとくに右半球で目立つ可能性が示されたのです。
しかし、なぜ右半球で目立つのか、まだ分かっていません。
研究チームは、過去にもパーキンソン病や側頭葉てんかん、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などで、左右差を伴うグリンパティック機能の異常が報告されていると指摘しています。
また、今回の結果で重要な別の点は、DTI-ALPS指数の低下が症状の重さとも関係していたことです。
ME/CFS患者では、全体のDTI-ALPS指数が低いほど、睡眠障害が重い傾向がありました。
また、同じく指数が低いほど、集中困難の症状も重い傾向が見られました。
これは、ME/CFSでよく見られる睡眠の問題や、頭がぼんやりして集中しにくい症状と、脳の掃除機能の低下が関係している可能性を示すものです。
一方で、疲労そのもの、痛み、病歴の長さ、身体機能などとは、今回の解析では明確な関連は見られませんでした。
そのため、この研究を「慢性疲労症候群の原因が完全に分かった」と受け取るのは早すぎます。
正確には、ME/CFSのなかでも睡眠障害やブレインフォグを説明しうる、新しい生物学的な手がかりが見つかったという段階です。
また、この研究には限界もあります。
対象人数はME/CFS患者31名と健康な対照群27名であり、まだ小規模な予備的研究です。
さらに一時点の状態を調べた横断研究であるため、グリンパティック機能の低下がME/CFSの症状を引き起こしているのか、逆に症状や睡眠障害の結果として低下しているのかは分かりません。
利き手や睡眠姿勢など、グリンパティック機能に影響しうる要因も十分には調整されていません。
それでも今回の結果は、長らく原因が分かりにくかったME/CFSを、脳の生理的な仕組みから理解するための重要な一歩となりました。
強い倦怠感やブレインフォグの背後には、脳が眠っている間に行う「掃除」の不調が関わっているのかもしれません。



























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