コメディ後は「かすかな笑顔」の正答率が上昇
マスクをしていない笑顔を「ポジティブ」と正しく答えた割合は、天気予報を見た後よりもコメディを見た後の方が高くなりました。
一方で、悲しい表情の判断には変化はありませんでした。
つまり、コメディを見たことで表情全般の判別が上達したのではなく、明るい気分と一致するポジティブな表情を正しく選ぶ割合が上がったと考えられます。
これが今回確認された気分一致効果です。
ところが、マスクをした笑顔では同じような変化は見られませんでした。
この課題は3択での判断であり、偶然でも一定の割合で正解できるため、マスク条件では気分の影響が表れにくい状況だった可能性があります。
笑顔を判断するには、口角の上がり方など口元の情報が重要です。
研究チームは、マスクによってその手がかりが隠れたことに加え、表情判断への自信が下がり、自分の気分が判断に反映されにくくなった可能性も挙げています。
探索的な分析(事前に仮説を立てず、データの中から関係性を幅広く探る分析方法)では、相手の立場に立って考える傾向が高いことや、コメディ条件での抑うつ・落ち込みが低いことが、笑顔の正答率の上昇と関係する候補として示されました。
もちろん、これらの関係は確定的なものではなく、参加者数も限られているため、今後さらに検証が必要だと言えます。
今後は、年齢や文化的背景の異なる人を対象にし、声や身ぶり、会話の流れを含む自然な対人場面でも同じ効果が起こるのかを調べる必要があります。
それでも今回の実験は、曖昧な笑顔の見え方が、相手の顔だけでなく、それを見る側の気分にも左右される可能性を示しました。
楽しい気分は、誰かが見せた小さなポジティブ感情のサインを見逃さないための、ささやかな助けになるのかもしれません。

































