・自発的に忘れようとする方が脳に記憶されることが分かった
・実験では、被験者に単語を見せ、覚えるまたは忘れるよう指示して脳波を記録した
・実験の結果、忘れるよう指示された単語の方がより記憶していることが分かった
「忘れたいのに、忘れられない」―。そんな経験に覚えがある人も多いのではないでしょうか。
Current Biologyに掲載された研究で、ある物事を覚えようとするよりも、自発的に忘れようとするほうが記憶に残ることがわかりました。
https://www.cell.com/current-biology/fulltext/S0960-9822(18)30941-2?
過去の研究では、人が「どうやったら上手く記憶できるか」に焦点を当てた研究が盛んでした。しかし、忘却も人の幸福や集中力について非常に重要な役割を果たしています。そこで研究チームは、自発的な忘却と脳の活動に着目して実験を行いました。
実験では、てんかん患者に単語を見せて単語ごとに覚えるか、または忘れるように指示を出しました。患者の脳には電極が埋め込まれており、実験中の脳活動が記録されています。
その結果、被験者が「忘れよう」と意識した際に、背外側前頭前野や海馬において脳波の振動数が上昇することが分かりました。背外側前頭前野は認知や意欲、判断など様々な認知機能に関っており、海馬は人の記憶に関わっています。
さらに、被験者は覚えようとする単語よりも、忘れようとする単語の方が覚えていることもわかりました。これは、忘れようとするほうが脳の活動を高めてしまい、結果的により記憶の定着につながることを示唆しています。
研究チームは今回の研究が、自発的な忘却における研究がPTSD(心的外傷後ストレス障害)などの精神的疾患に関わる新しい治療法の基礎になると考えています。
もしどうしても覚えたいことがあったら、逆に「忘れよう」と努めてみるのもアリかもしれません。
via: ScienceDaily / translated & text by ヨッシー