「呼ばれるかもしれない」だけでも睡眠は乱れる
ところがこれまでのオンコール実験では、実際には呼び出されなかった場合でも、「今夜は連絡が来るかもしれない」と分かっているだけで睡眠が悪化することが示されています。
とくに問題になると考えられているのが、「本当に呼ばれるのかどうかわからない」という不確実性です。
過去の実験では、呼び出されるかどうかが不確かな条件では睡眠や翌日の認知能力が悪化し、「連絡を聞き逃すかもしれない」という心配も就寝前の不安や睡眠に影響していました。
ではオンコールや連続勤務の時間に上限を設ければ、それだけで解決するのでしょうか。
今回のレビューでは、勤務時間を制限すると睡眠や疲労が改善するケースが多かった一方で、同じ量の仕事を短い時間で処理することになり、仕事が高密度化するケースも報告されていました。
医療現場を対象にした研究では、担当患者が1人増えるごとに、研修医の睡眠時間が約38分減った例もあります。
つまり勤務時間だけを短くしても、人員や仕事量が変わらなければ、残された時間に業務が集中し、せっかくの疲労対策を打ち消してしまう可能性があります。
また、オンコール中に3時間の仮眠時間を確保した研究では、本人が感じる眠気には明確な違いがなかったものの、注意力を測る課題では反応速度が改善しました。
自分では「それほど疲れていない」と感じていても、実際の注意力とは一致しない場合があることを示す興味深い結果です。
ただし今回のレビューは、対象研究の多くが医療従事者に偏っており、疲労の評価にも自己申告が多く使われているため、すべての職業にそのまま当てはめられるとは限りません。
それでも、これまでの実験と今回のレビューを合わせて見ると、オンコール勤務では「何時間働いたか」だけでなく、いつ呼ばれるかわからない状態で休まなければならないこと自体も、睡眠と疲労を考えるうえで無視できない問題だと言えるでしょう。


































