「黄色に赤」の小さな虫が、歌手の名前をもらうまで

舞台はオーストラリアに生える木、モクマオウです。
英語では「シーオーク」と呼ばれ、この木の花を食べる小さなカメムシの仲間が暮らしています。
大きさはレンズ豆(平たい小さな豆)より小さく、目が大きいのが特徴です。
研究チームは、この木から集められて保管されていた593点の標本を調べました。
標本は、オーストラリア各地のモクマオウの仲間から集められたものです。
体のつくりと色、そして遺伝子を、すでに知られている種と比べる。
その結果、12の新種が見つかり、5つの新しい属に分けられました。
種が生徒なら、属(ぞく)はクラスです。似た者どうしを一つの部屋にまとめる入れ物と考えてください。
新しい属のなかに、「スウィフティフィルス」と名付けられたものがあります。
ここに入った4種が、テイラー・スウィフトにちなんだ名前を持っています。
決め手は、黄色い体に入った赤い差し色でした。
研究チームの昆虫学者サラ・シュローダー氏は、こう話しています。
「テイラーといえば赤い口紅が有名です。ファンは親しみを込めてブロンディと呼びます」
ブロンディは、金髪の人を指す呼び名。
金髪に赤い口紅という姿が、虫の黄色と赤にそのまま重なったわけです。
シュローダー氏自身が、長年のファンでした。
「テイラーの音楽は、私の人生の大きな節目の多くを支えてくれました」
「だから、この種に彼女の名前を付けて、音楽へのお返しを贈るのは、私には自然なことでした」と続けます。
ナゾロジーでは以前、テイラー・スウィフトのライブで地面が揺れた話を紹介しました(テイラー・スウィフトのライブによりM2.3の地震が発生!)。
名前の付け方も、ファンならではです。
本人の名前からは「タイロラエ(taylorae)」。
残りは、アルバムの名前をラテン語にした言葉です。
「Lover」はアマートル(amator)、「Fearless」はイントレピドゥス(intrepidus)。
「The Tortured Poets Department」からは、ポエトールム(poetorum)が生まれました。

研究チームは論文で、「観客を沸かせる才能、胸を締め付ける歌詞、多くの人に届けた喜びと安らぎ」に敬意を表すと書いています。
ただ、名前の話はこの研究のほんの一部です。
論文によると、モクマオウで暮らすこの仲間は、種が違っても色の模様がよく似ているそうです。
なぜ、似た色になったのでしょうか。
























