「似た色」のわけと、名前を付けることの意味

研究チームの考えは、花に紛れるための色ではないか、というものです。
モクマオウの花にまぎれて目立たなくなるように、別々の種が同じような色に近づいてきたのかもしれません。
こうした変化は、収斂進化(しゅうれんしんか。別々の生き物が、同じような姿に近づくこと)と呼ばれます。
ただし、論文はこれを「示唆される」と書いており、まだ仮説の段階です。
世界には植物を食べるカメムシの仲間が数多くいますが、オーストラリアでの多様性はよく分かっていませんでした。
この虫を集めて記録する仕事は、リバーサイド校の昆虫学者クリスティアーネ・ワイラウフ氏らが以前から続けてきたものです。
シュローダー氏は博士課程の研究として、その中の正体不明の虫を引き継ぎました。
「本当にわくわくしました」とシュローダー氏。「新種を発表できるのは、科学者にとって夢のようなことです」
氏は、見つけた種を正式に発表して名前を付けることが、生き物を守る土台になると話しています。
そこにいると分かっていない生き物は、守りようがないからです。
名前の付いていない昆虫は、まだ何百万種もいる可能性があります。
この研究で言えるのは、モクマオウで暮らす虫の中に、名前の無い種と属がいくつも残っていたことです。
分け方の根拠は、体のつくりの記録と、遺伝子から見えてきた新しい系統(生き物どうしの近さの家系図)の仮説です。
似た色が花に紛れるためかどうかは、この研究では確かめられていません。
示されたのは、その可能性までです。
調べたのはオーストラリアのモクマオウの仲間から集められた標本で、ほかの木に付く仲間はこの研究の範囲の外です。

保管されていた標本の中に、まだ名前の無い虫が眠っていた。歌手の名前とともに、そのことを思い出させてくれる研究です。
ライブで地面を揺らした歌手の名前が、今度は虫の学名に刻まれました。ファンの愛は、地面も学名も揺るがすようです。
























