「スウィフト地震」はどの曲で起こった?
WWUの地震学者であるジャッキー・カプラン=アウエルバッハ(Jackie Caplan-Auerbach)氏によると、スウィフト地震は約3時間つづいたライブの中で持続的に観測され、午後7時30分頃と午後9時30分頃の2回ピークに達したという。
揺れの正確な原因は特定されていませんが、ライブに関連することは明らかであり、おそらく大規模なサウンドシステムと熱狂したファンの踊りや身動きが組み合わさったことで地面が揺れたと見られています。
アウエルバッハ氏らは、ライブの曲目リストと地震計の記録を照らし合わせて、ピークとなるM2.3の地震が発生したときの楽曲を調べてみました。
その結果、スウィフト氏のヒット曲である「Blank Space」と「Shake it off」の2曲が該当したとのことです。
この2曲で狂喜乱舞したファンの熱気により地面が揺れたのかもしれません。
2011年にも同じスタジアムで地震が起きていた
実は同じルーメン・フィールドで人為的な地震が起きたのは、これが初めてではありません。
2011年にNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)の試合で、地元のシアトル・シーホークスが劇的なタッチダウンを決めた瞬間にサポーターが熱狂し、M2.0の地震が観測されました。
これはタッチダウンを決めた選手のニックネームにちなんで「ビースト地震(Beast Quake)」と呼ばれています。
アウエルバッハ氏は、今回のスウィフト地震とこのビースト地震を比較してみました。
こちらはアウエルバッハ氏が発表した2つの地震波の違いです。
I guess I should show the data. Swifties > Seahawks fans.
(except data from the concert may not be caused by the fans–it may be the sound system, so not really a fair comparison). pic.twitter.com/szwowOYQFi
— Jackie Caplan-Auerbach 🇺🇦 🌻 (@geophysichick) July 27, 2023
マグニチュードでいうとスウィフト地震の方がわずかに0.3ほど大きいだけですが、「実際の揺れの強さはビースト地震の2倍に当たる」とのこと。
もう一つ大きな違いは揺れの持続時間にあり、タッチダウン後の熱狂は数秒〜数分しか続かないので、地震波の観測はかなり散発的なものでした。
しかしスウィフト地震では、ライブの長さ、音響のビート、スピーカー、ファンの熱狂など、フットーボールの試合より遥かに長く続くので、強い揺れが持続的かつ周期的に繰り返されています。
まさに大地を揺るがすライブですが、人間の活動によって生じる地震は、過去にどのくらい報告されているものなのでしょうか?
英ダラム大学の研究(Seismological Research Letters, 2017)によると、過去150年間で人間の活動が地震を引き起こした場所は約730カ所あるといいます。