乾いた土に雨が降ると、空気には何が放たれるのか?

今回の研究が注目したのは、長い日照りのあとに雨が降ったとき、土から立ちのぼる「揮発性有機化合物」です。
揮発性有機化合物とは、空気中に漂い出しやすい有機物のことで、においの成分もその仲間です。
研究ではイスラエルの、乾燥の度合いが少しずつ異なる地域の土を使い、雨で土が再び湿る場面を再現しました。
すると、乾いた土が湿った途端、揮発性有機化合物が勢いよく放出されました。
その量は、地面1平方メートルあたり毎秒1〜3.5ナノモルにのぼります。
放出された物質の中心は、「セスキテルペン類」(植物の精油などに多い香り成分のグループ)と「ベンゼン系化合物(ベンゼノイド)」(ベンゼン環という構造を持つ化合物)と呼ばれるグループでした。
さらに雨上がりのにおいは、58種類もの揮発性有機化合物が混ざり合った、複雑な香りの花束のようなものだと分かりました。
最初にどっと放出される様子は、乾いた土が雨で湿ったときに二酸化炭素が一気に放出される「バーチ効果」とよく似ていたといいます。
また放出のパターンは、地域の気候や土の乾き具合、そして土の中にいる微生物の顔ぶれと結びついていました。
ただし、においの中身は地域ごとに違っていても、放出される量そのものは、乾燥の度合いが異なる土地のあいだで同じくらいの規模でした。
そしてもうひとつの焦点が、このにおいの成分が空気の中で何を生み出しうるかという点です。
雨上がりの放出物は、オゾンや「二次有機エアロゾル」(空気中の有機物が化学反応してできる微粒子)を作り出す力を秘めています。
その力を見積もると、イスラエルで人間の活動から出る揮発性有機化合物の見積もりと、同程度の大きさだったのです。
あの懐かしいにおいの裏で、乾いた土は、オゾンなどを生み出しうる力では人間の排出源に匹敵するほどの物質を送り出している可能性があるわけです。



















