がんごとに違う「目印」を狙うワクチン

がん細胞の遺伝子には、正常な細胞には無い変異が入っています。
この変異から生まれる、がん細胞だけが持つ目印は「ネオアンチゲン(新生抗原)」と呼ばれます。
変異の中身は患者ごとに違うため、この目印も一人ひとり異なります。
そこで患者のがんを調べて目印を予測し、それを狙うように免疫を訓練するのが「個別がんワクチン」です。
これまでの研究で、このワクチンが血液中に目印への免疫反応を生み出せることは分かっていました。
しかし、その反応ががんを後押しする重要な変異(ドライバー変異)まで狙えるのか、患者自身のがんを見分けられるのか、そして実際に病気を抑える力があるのかは、ほとんど分かっていません。
とくに腎臓がんは遺伝子の変異が少ないタイプのがんで、こうしたがんでもワクチンが働くのかは気になるところでした。
腎臓がんでは過去にもワクチンが試されましたが、がん細胞をまるごと使うものは試験の設計に疑問が出て開発が打ち切られ、がんに多い分子を狙うものも手術後には目立った効果を示せませんでした。
そこで研究チームは、第1相試験(少人数で安全性などを確かめる最初の段階の臨床試験)を行いました。対象は、ステージ3〜4の淡明細胞型腎細胞がん(腎臓がんで最も多いタイプ)を手術で取り切った、再発リスクの高い患者9人です。この9人に、それぞれのがんの目印を狙う個別ワクチンを打ちました。
一部の患者には、CTLA4(免疫にブレーキをかける分子)の働きを抑える薬「イピリムマブ」をワクチンのそばに注射する組み合わせも試しています。





















