寒さという課題と、「スマートな建物」への道

一方で、課題も見つかっています。
短時間の温度試験では、ほどよく温めたり冷やしたりした条件なら、蓄電器は安定して動きました。
ところが、マイナス18℃では性能が大きく落ちてしまったのです。
論文は、電解質の凍結と水分の管理が、今後の大きな課題だとしています。
研究チームは今後、寒い環境でも働けるように蓄電器を強くしていく予定です。
将来的には、非常用の照明から、自分で電気をまかなうセンサーまで、さまざまなものに電気を送れるかもしれないと期待されています。
論文でも、今回の成果は、電気をためる仕組みと荷重を支えるセメントの部材をひとつにまとめられる見込みを示したものだとしています。
Zhong氏は「建材が建物を支えるだけでなく、エネルギーをため、周囲を感じ取り、さらには人とやりとりできるようになれば、建物はただの受け身の雨宿りの場ではなくなり、本当の意味でスマートな環境になりうる」と語っています。
私たちが毎日踏んでいる床や寄りかかっている壁も、いつか黙って電気をため込む「見えない蓄電庫」として働く日が来るのかもしれません。
そうなったら、停電の夜には壁に向かって「少しだけ分けてもらえますか」と頭を下げることになりそうです。




















