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なぜ青い生物は少ないのか?

2018.01.30 Tuesday

青い虎はいません。青いコウモリも青いリスも青い犬もいません。英語でブルーウェールズと呼ばれるシロナガスクジラさえも、青くありません。動物はとても多くの色をまとっているのに、青色はとても珍しいものなのです。

それでも私たちが青い生き物の発見に夢をみてしまうのは、その見た目が素晴らしいからでしょう。自然は青色を作り出してきました。なぜそうなのか理解するために、進化、化学そして物理学を通して旅してみましょう。

Why Aren’t There More Blue Animals?
http://digg.com/video/blue-animals-how

始めに、そもそもなぜ動物には色があるのかを理解する必要があるでしょう。そのためには、まず蝶に注目する必要があります。

彼はボブ・ロビンス。ワシントンD.C.にある国立自然史博物館の蝶目の学芸員です。

「蝶はとても素晴らしい昆虫です。蝶は蛾の1グループで昼間に活動するように進化しました。あなたが昼間に活動的であるなら、そこには1つの利点があります。光をコミュニケーションに使えるのです」

すべての昆虫の中でも、蝶は最も明るくて詳細な色彩パターンを表すことができます。蝶の翅の色は「毒を持ってるよ」、「オスです」、あるいは「私のテリトリーです」といったメッセージを伝えているのです。

しかし、蝶の色すべてが同じように作られているわけではありません。蝶の翅を拡大してみると、小さな鱗粉にその色をみることができます。それが、蛾や蝶の学名の由来です。(蝶の学名: Lepidoptera(鱗粉+翅))

オレンジ、赤、黄色、茶色、こういった鱗粉はすべて色素を含んでいます。色素は見えている色以外の色をすべて吸収する有機分子です。黒い鱗粉はすべての色を吸収するのです。

蝶から鳥、私たち人間に到るまで、動物はそもそもこれらの色素を作れません。それは私たちが食べた物から作られるのです。

フラミンゴをみると、それを知ることができます。フラミンゴは生まれた時は灰色ですが、色素のおかげでピンクに変わります。その色素は彼等が食べる甲殻類の持つカロテノイドです。なのでこれらの色に関して言えば、持っている色素は何を食べたかによるのです。

しかし、青はそうではありません。青は他の色とは違うんです。

「(青い蝶を撮っている時)カメラを動かせば、カメラの動きに合わせて色が変化するのがわかると思います。これはホログラムに似ています。それはなぜかというと、この蝶は青い色素を持っていないからです」

つまり、この蝶は青く見えるけれども本当は青色ではないのです。

これは、ブルーモルフォバタフライ。おそらくすべての蝶の中で一番綺麗な蝶です。

ちなみに、iOSの絵文字の青い蝶は、実はこの蝶を元にデザインされています。この青色は、色素から来ているのではなく、鱗粉の形からくるものです。

青い鱗粉を拡大して見てみると、小さな隆起した線が見えます。

この鱗粉を横に薄切りにしてよく見ると、この隆起が小さなクリスマスツリーのような形をしていることがわかります。この枝の並びが、モルフォ蝶の翅を青く見せているのです。

光が入ってくると、いくらかの光が上の表面で反射して放射されます。光の中には階層に浸透し底の面で反射するものもあります。上面と底から反射した光の色の多くは位相がずれ、相殺されて取りのぞかれます。しかし、青い光は違います。上面と底面で反射した光は同期し、私たちの眼に届いて色が見えるのです。

この鏡のホールは、青い光だけを外に逃がすのです。基盤の底には彷徨いだした赤や緑の光を吸収する色素さえもあり、青い色はさらにクリアになるのです。真珠光沢のある素晴らしい青を見ることができる理由は、翅の微細構造そのものにあるのです。

これが起きるのは、そもそも光が空気から他の素材に浸透した時に曲がる性質があるからです。なので、この小さな隙間を空気以外の物、例えばアルコールで満たしたら、青い色は消えてしまいます。

これは科学用語で「屈曲率の変化」と呼ばれ、平坦に言うと青い光が正しく曲がらなくなるということです。微小な光フィルターは、アルコールが蒸発して色が戻るまで壊れています。

しかし、この蝶たちは熱帯雨林で生きています。だとすると、蝶は濡れると色が消えるんじゃないかと思いませんか?

これを見てください。翅の鱗粉は自然の撥水性素材で出来ています。どのような気候でも青色を保つのです。

ではこのアオカケスという青い鳥の羽根はどうでしょう?羽根を透かして見ると色は完全に消えてしまいます。

青い色素はありません。羽根の剛毛には光を散乱させる微小な粒が含まれており、青色以外の波長の光は掻き消されるされるように空間を埋めています。

蝶の翅で見られたような規則正しく配置された構造と違って、この羽根の構造は乱雑で泡のようです。なので、動きに合わせて色が変わるのではなく、どの方向からでも色が見えます。

孔雀の尻尾の羽根はどうでしょう。これも色素ではなく羽根の構造によるものです。しかし、光を反射する構造はより規則正しく、結晶のようです。そのため的確な角度から見ると輝いて見えます。

そしてこれは猿の睾丸にもあります。

その青色は、皮膚の中にある構造により波長を足したり引いたりすることで出来ています。これも色素ではありません。青い目の人の目の色も色素ではなく構造によるものです。

方法に若干の違いはありますが、海の外では、青い生き物はその色を色素ではなくその構造で作っています。鳥や哺乳類や爬虫類など私たちが知っている脊椎動物の中で青い色素を作るものはいません。実際、知られている中ではただ一種類の蝶だけが、この常識を覆して青い色素を作れます。

自然の中で色素を使った青というのは、一つの例外を除き、まだ知られていません。その例外がこの、オリーブウィングです。

これはありふれたものではない上、あまりよくわかっていません。そして、他にも青い色素があるかどうかもわかっていないのです。

この蝶は、本当に特別なものです。なぜ、自然界のほとんど全ての青色は色素ではなく構造によって作られるのでしょうか。この質問を何人かの色を研究している研究者に尋ねました。そして、今現在で、一番の理論を得ました。時間をさかのぼって、鳥や蝶が青い光を見れるように進化した段階をみてみましょう。

当時は、体の色を青くするようには進化していませんでした。

この段階で青い色を表現できるように進化すると、とても目立つことになります。

それが意味するのは、コミュニケーションや生存のための新たな機会を得るということです。青以外から青い色素を作るには新たな化学反応を発明する必要があり、遺伝子上にその作り方を加える方法はありません。

体の構造を顕微鏡的なサイズでわずかに変えることのほうが、進化的にはよほど簡単です。そして、物理法則を代わりに使うことで青色を作りました。生物学的問題を工学的に解決したのです。

この話題で特に興味深いことは、青色が好奇心旺盛な人々を何百年もの間魅了してきたことです。1600年代に初期の顕微鏡によって孔雀の羽が観察した後、ロバート・フックはこう書きました。「この色は幻想的な物の一つである」アイザック・ニュートンでさえ、これらの青色には何らかの普通でないことが起こっていると記しています。科学者たちは過去、生物の青色について研究し続けてきました。

ただ科学的に面白かったからというだけではありません。それらが純粋に美しかったからです。

via: digg/ translated & text by Nazology staff

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