「人の形をしている」「悲鳴を聞くと死んでしまう」「根っこをすり潰すと万能薬になる」など、神話やファンタジーの中で八面六臂の活躍をみせる伝説の植物「マンドラゴラ(別名=マンドレイク)」。
マンドラゴラといえば筆者の中では『女神転生』『ペルソナ』シリーズの“治癒”能力を有する仲魔でおなじみ…なのですが、本当に実在する植物でもあります。しかし、生息地を選び育成が難しいなど、現在でも希少価値が高く、なかなかお目にかかることはありません。
そんなマンドラゴラなど世界中の希少な植物を展示しているのが、兵庫県あわじ市にある農業公園・淡路ファームパーク・イングランドの丘です。
今回はマンドラゴラの本当の姿について、同施設で実際に開花に成功した後藤敦さんにお話をうかがいました。
マンドラゴラは繊細な生き物
そもそもマンドラゴラの栽培はいつから始めたのでしょうか?
後藤さん:当施設では、15年以上前からマンドラゴラの栽培を開始し、昨年初めて開花に成功しました。
専門家でも15年以上栽培に時間を費やしたなんて…。さすが伝説の植物です。

素人的イメージとしては、マンドラゴラというとやはりなにやら恐ろしげな想像をしてしまいますが、実際にはどういった植物なのでしょうか?
後藤さん:マンドラゴラは地中海性気候の下に自生する植物で、生息範囲は狭いといえます。湿気を好みますが、通常の植物よりもかなり多く陽の光(特に紫外線)を必要とするため栽培は非常に困難。花が咲くこと自体珍しく、3年に1度咲けば良いといったところです。
生息にかなり細かい条件が必要な、とても繊細な植物なんですね。
輸入も種でしかできないため、日本で栽培して開花まで…となると相当の労力がいるそうです。