■南極のスウェイツ氷河に巨大な穴が空いていることが判明
■穴は、140万トンの氷の体積に相当し、ここ3年ほどでできたと推測
■人工衛星と、氷を貫通するレーダーを搭載した飛行機を使って、氷河を計測した
地球温暖化の波が、地球上で「もっとも辺鄙な場所」にまで押し寄せてきました。
南極のスウェイツ氷河に、マンハッタンの3分の2もの大きさの巨大な穴が空いているのが見つかりました。数十年の歳月をかけて、ゆっくりと解け、次第に大きくなっていったようです。
雑誌「Science Advances」に1月30日付けで掲載された論文によると、約17万平方キロメートルのサイズの氷河の下に、深さ300メートルほどの空洞がぽっかりと空いているとのこと。NASAのジェット推進研究所、カリフォルニア大学アーバイン校、ドイツ航空宇宙センター、仏・グルノーブル大学が、共同調査を行いました。
http://advances.sciencemag.org/content/5/1/eaau3433
ここ3年で140万トンもの体積の氷が消失
穴の存在は、飛行機で北極・南極の氷を観測するNASAのプロジェクト「オペレーション・アイスブリッジ 」のデータと、1992年から2017年にかけてのスウェイツ氷河の変化をレーダーで捉えた記録をもとに明らかになりました。
ジェット推進研究所のレーダー科学者ピエトロ・ミリロ氏は、これを「悩ましい発見」と呼びます。この穴は、140万トンもの氷の体積に相当します。しかも、たったここ3年ほどでできたようです。大都市ロサンゼルスの年間消費水量が10万トンであることを考えれば、どれほどの量の氷があっという間に解けてしまったかが分かります。
スウェイツ氷河の「ゆるさ」は数十年前から指摘されていましたが、科学者たちは穴の大きさと氷が解ける速度を甘く見積もっていたようです。