氷河がすべて溶けると世界全体の海面が60cm上昇
氷河はほとんどの場合、あまりにも巨大で、孤立しているため、そのサイズを正確に把握することは簡単ではありません。そこで研究チームは、人工衛星と、氷を貫通するレーダーを搭載した飛行機を使って、スウェイツ氷河を計測。その結果、大陸に接した氷河の西側部分が、1992年以降毎年600〜800メートルづつ陸から後退していることが判明しました。
一方、東側は、複数の細い水路を通って氷河の縁が溶け出しています。ミリロ氏はその様子を「まるで氷河の下から伸びた食指が氷を解かしているようだ」と表しています。その後退速度は、1992〜2011年までは毎年約400メートルでしたが、2011年〜2017年では約800メートルと、2倍に上がりました。
こうした背景には、地形、氷の縮小、大量の温かい塩水によってもたらされる氷の溶解など、多くの要因が存在しています。氷と海の複雑な相互作用によって、氷河の底に捉えられた温かい海水の量が増えるほど、ますます穴が広がるという悪循環が生まれるのです。もしスウェイツ氷河がすべて解けてしまったら、世界全体の海面は60センチメートル近く上昇します。
まずは、恐ろしいほど巨大なスケールで進むこの現象の「程度と速度」を知ることが重要です。南極と北極の全体をより正確に、そしてより頻繁に計測できる、新世代の人工衛星の開発が急がれます。
もし南極の氷河がすべて解けてしまったら、世界全体の海面は3メートル上昇するという試算があります。その時、地球環境にどんな影響がもたらされ、私たちの生活にどんな変化が起きるのでしょうか?
氷河の後退は、すでに後戻りできないところまで来てしまったようです。
reference: motherboard, dailymail/ translated & text by まりえってぃ