■サメによる襲撃件数をデータ化している「ISAF」によると、2017年から2018年のわずか1年間で、襲撃が激減していることが判明
■1950年代から2010年代まで、海水浴客は増加に伴って、サメ襲撃件数も増加していたため、この結果は驚くべきものだった
■ISAFの研究員によると、サメの個体数が減ったのが原因というよりも、ビーチ監視員の指導と市民の警戒心が高まったことが有力とのこと
一体サメに何が…?
「インターナショナル・シャーク・アタック・ファイル」、通称「ISAF」は、過去60年以上にわたって、世界のサメ襲撃件数をデータ化している機関です。
そのデータによると、ここ1年間でサメの襲撃が急激に減っていることが判明しました。ISAFによる詳細な報告は、1月28日付けで「Florida Museum of Natural History」上に掲載されています。
https://www.floridamuseum.ufl.edu/shark-attacks/yearly-worldwide-summary/
襲撃件数が激減!原因は?
ISAFの調査では、2018年に確認されている襲撃件数は全体で66件。前年度の襲撃件数は88件、さらに2013年〜2017年における平均は84件なので、短期間で大幅に減少していることが分かります。2018年のサメ襲撃による死亡者数は4名、年間平均はおよそ6名なので、死亡者数に変化はなかったようです。
研究者は、襲撃自体の数が激減していることを喜ぶ一方で、この結果に驚きを隠せない様子。というのも、ISAFのデータを年代ごとに見てみると、サメ襲撃件数は1950年代から2010年代にかけて4倍以上に増加しているからです。ISAFのデータでは、1950年代におよそ150件あった件数が、2010年代には700件にまで跳ね上がっています。ISAF研究員のギャビン・ネイラー氏によると「件数の増加は、海水レジャーの発展に伴い、ビーチに行く観光客や地元民の数が増えたことと比例している」とのこと。
襲撃件数が減った理由について、ネイラー氏は、サメ自体の個体数が減少している可能性を指摘しています。世界の中でもサメ襲撃件数がもっとも多いアメリカでは、2018年の襲撃件数66件の内、およそ半分の32件を占めています。そして、襲撃の主犯となっているのが、フロリダ沖に群れをなして生息する「カマストガリザメ(blacktip shark)」と呼ばれるサメです。