もっとも地上に帰りたかった月の男
家族にも本心を見せないニールが、劇中で唯一感情を吐露させるのが冒頭の「最愛の娘の死」のシーンです。部屋に閉じこもって、一人涙を流します。
娘の死後、何かに取り憑かれたように危険なミッションに打ち込み、天上を目指すニール。それと同時に、地上に残された家族から気持ちが離れていっているようにも見えます。
しかし表情は冷静でも、ニールが宇宙空間で流した音楽、そして月面上で目にしたものを知れば、彼がどれほどホーム(家庭)に帰りたいと願っていたのかが、痛いほど伝わってくるのです。
ニールは、関係者に対し「アポロ計画が成功したのは、多くの人の犠牲と尽力があったからだ」と何度も繰り返し口にしていたそうです。こうした謙虚な心が、あの名言「この一歩は、一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」という言葉を生み出したのでしょう。
映画『ファースト・マン』は、全国にて絶賛公開中です。気になった人は、ぜひニールと一緒に「アポロ計画」に参加しにいきましょう!
written by くらのすけ