■中国河南省の洛陽市の墓の中から、不死の薬が入った壺が発見された
■発見された液体は、道教の不死の薬のレシピには欠かせない材料である硝酸カリウムとミョウバン石を含有
■古代中国では、不死の薬を口にした者の多くが、それが含む有毒物質によって逆に命を落とした
人類の永遠のテーマである「不老不死」。故事や神話には、永遠の命を手に入れた人に関する記述さえ登場します。
現代では、「これらが単なるおとぎ話に過ぎない」ということに意義を唱える人はあまりいませんが、2千年前の状況は異なりました。実際、中国河南省の洛陽市で、不死の薬がこのほど発見されたのです。
洛陽市にある“Institute of Cultural Relics and Archaeology”の所長Shi Jiazhen氏によると、中国国内で不死の薬が見つかったのは今回が初めてとのこと。前漢王朝の貴族の墓に納められていた銅製の壺の中から、およそ3.5リットルの液体が見つかったそうです。この一族はおそらく、この液体の力を固く信じていたのでしょう。
中には不死の薬に欠かせない材料が…
この液体が持つ強いアルコール臭から、当初考古学者たちは酒の一種だと考えました。ところが、実験室で詳しく調べたところ、この液体が硝酸カリウムとミョウバン石を含んでいることが判明。これらの物質は、道教の不死の薬のレシピには欠かせない材料です。また、ミョウバン石は、肥料の一種としても用いられます。
始皇帝を始めとする古代中国の皇帝や貴族はかつて、永遠の肉体を実現する物質を提供してくれる道教の錬金術師を、熱心に探し求めました。ところが、こうした不死の薬を口にした者の多くが、それが含む有毒物質によって逆に命を落としています。
錬金術師たちは、はっきりとしたレシピが無い状況の中、さまざまな有機物や無機物を混ぜて、不死の薬を作りました。その中でも特によく用いられたのが、水銀です。
室温でも液体の摩訶不思議な金属に魅了された彼らは、この物質に何か霊的なものを感じたようです。ですが実際、水銀は認知機能を低下させ、腎臓障害を引き起こし、人を死に至らしめる猛毒です。いくらスピリチュアルな感じがしても、それが人体に無害だとは限りません…。