geoscience

花粉による虹色リング「花粉光環」が多数観測される

2019.03.08 Friday

建物の影を使って観測された花粉光環。Credit:国立天文台
Point
■Twitter上で花粉光環がトレンド入り
■屋外で花粉光環の虹色のリングが見えるようになる
■原理は光の回折現象

花粉症が猛威をふるう季節がやってきました。ここ数日、全国各地で花粉による気象現象の「花粉光環」が確認され、Twitterなどで話題になっています。この神秘的な輪っかは、一体どうやって発生するのでしょうか?

※太陽を直接見ると失明の恐れがあるため危険です。建物の影から観察したり、太陽を遮るものを用意しましょう。ルールを守って楽しく観察!

太陽光の回折が作り出すキュートなリング

花粉光環とは、太陽の光がスギ花粉の多い大気を通ることで見える虹色のリングです。黄砂などの微粒子が雨で流され綺麗になった後の晴れの日に、花粉が大量に飛ぶことで観測しやすくなります。

そのため花粉症患者の方の中には、花粉飛散量のサインにしている人もいるのだとか。

ちなみに花粉光環の原理は、学校で習う「光の回折」です。光の回折とは、光が障害物を回り込んで進むというものです。学校では単色のレーザーを細かいスリットが等間隔に並んでいる回折格子に入れてスクリーンに縞を作るという実験が一般的に行われています。

筆者製作の花粉光環の原理概要

花粉光環では、複数の波長の光が合わさった太陽光が、空気中の微小な花粉により回折の回り込みを起こし、観測者まで届きます。光の回折は、光の波長が長いと回り込みの量はより多くなり、短いと回り込みません。

複数の波長が合わさっている太陽光では、回り込みの段階で光が波長別に、つまり色別に分かれることになります。より回り込む波長の長い赤色の光は、観測者と太陽を結ぶ線から離れたラインを通り、逆に波長の短い光は太陽と観測者を結ぶラインに近い直線っぽいラインを通ります。

そのため観測者が見るときは、太陽に近い内側に紫色が、リングの一番外側には赤色の光が見えるようになります。

Twitter上に投稿された花粉光環が、ほとんど建物の影や太陽を遮るものを使っているのは、回折で回り込む淡い光より太陽光そのものがずっと強く、また太陽光を直視すると失明の恐れがあるため確認することができなくなるからなんですね。

東宝の映画で見る例のアレ。なんとホームページを開くとこの画面から始まる。映画かな? Credit:toho

ところでコレ、丸くて七色に光ってるし「花粉光環は映画の東宝のアレ説」あるのでは……?

https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/6453

written by 白大根

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