■創造力を高めるには、現在とはかけ離れた未来や仮想世界を思い描いてみることが効果的であると判明
■反対に「現在バイアス」のように将来の利益よりも目先の小さな利益を優先してしまうと創造力は落ちる
■作家や映画監督、美術家のように「創造力」の高い職業の人たちだけに見られる「創造脳」なるものがある
創造力を高めるために、遠い未来に思いを馳せよう。
UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校ビジネススクール)の研究によると、作家や芸術家のように斬新なアイデア力を育むには現在優先の思考を離れるのが一番なんだそう。
同大学の心理学者であるハル・E・ハーシュフィールド氏は「現実とはかけ離れた未来思考を養うことが創造力につながる」と話します。確かにSF作家なんて、ありもしない近未来世界をその目で見てきたかのように細かく描写する、とんでもない未来思考の持ち主ですよね。
それから同氏の研究によると、創造力の強い人たちだけに見られる活発な脳領域も発見されたとのこと。なんと私たちには「創造脳」というものがあるみたいなんです。
研究の詳細は、2月4日付けで「Journal of Personality and Social Psychology」に掲載されています。
http://www.anderson.ucla.edu/Documents/sites/faculty/review%20publications/research/Meyer_Hershfield_Waytz_Mildner_Tamir_2019_JPSP.pdf
創造の道を閉じる「現在バイアス」って?
ハーシュフィールド氏は、創造力を減退してしまう思考法として「現在バイアス」なるものを挙げています。これは一言でいえば、将来の大きな利益よりも目の前にある小さな利益を優先する傾向の考えのことです。
とりあえず目先のことを楽しむ「イマココ思考」と呼べるもので、例えば夏休みの宿題を先延ばしにして後で苦しむパターンですね。これくらいなら別に自分がツライだけですむかもしれませんが、実は現在バイアスを放っておくと客観的思考力や他者への共感能力も衰えてしまうのです。
そんな危機を防ぎ反対に創造的マインドを高める方法が、遠い未来や実在しない世界について考える「遠隔思考(distant thinking)」です。ハーシュフィールド氏によると「遠隔思考」は、今この瞬間を離れることで創造的なマインドにチューニングを合わせることができるのだそう。
確かに現在と時間・空間的に距離感がある世界は、自分自身で想像して形作っていく必要があります。つまり、思考の距離感が創造力の増進に一役買っているわけですね。