ロボット同士で競争も!? 自己進化だって夢じゃないかも
さらに、2体のロボット同士に競争させる実験も行ったところ、DNA材料がさまざまなルートを通って移動するというダイナミックな振る舞いが観察された。

浜田氏は、人工代謝で動く分子ロボットの開発はまだ初期段階で、設計はまだ未熟だと説明する。だが、競争というある種洗練された行動を作り出せたことの意義は大きい。「人工代謝は、ロボット工学の新しいフロンティアを切り開く可能性を秘めている」と、浜田氏は語っている。
今回の調査では、マシーンは合成と劣化を2サイクル繰り返したが、この寿命はさらに伸ばせるかもしれない。そうすれば、「次の世代、そしてまたその次の世代…」というように、次々と自己再生を行うマシーンが生まれる可能性もある。さらには、自己進化する能力さえ持たせることだって夢じゃない。
研究チームは現在、この物質に刺激に反応させる方法や、光や食糧を自分で探させる方法、さらには有害な刺激物を避けさせる方法を調べているところだ。
将来的には、薬剤を必要な組織に届けたり、体内に入って病気を診断したり…と、たくさんの活躍の場を持つことになりそうな分子ロボット。そのニョロニョロとした動きが、なんともいえない「生っぽさ」を湛えている。