Point
■京都にある企業「データ・グリッド」が、実在しない人の全身像を自動生成できるAIを開発した
■ディープラーニングを応用したAIに、大量のモデル画像を学習させることで自動生成を可能にした
■今後、このAIは広告やアパレルのバーチャルモデルとして活用される予定
「実在しない」人の全身像を自動生成することのできるAIが誕生したようだ。
その名も「全身モデル自動生成AI」。
ディープラーニングを応用したアルゴリズムの開発によって、これまでにない高解像度(1024×1024)でのリアルな人物生成が可能になったと言う。
開発者は日本の企業「データ・グリッド」
開発を行ったのは、京都大学のキャンパス内にある株式会社「データ・グリッド」。
同社は昨年6月にも「アイドル」を自動で生成するAIを作っていたが、生成範囲は顔だけにとどまり、十分な表現力を達成できなかった。
そこでAIの豊かな表現力を実現させるために、人の「全身像」だけでなく「体の動き」にも焦点を当てた。このような研究は今までに前例がなく、世界でも初の試みだ。
研究チームは「GAN(敵対的生成ネットワーク=Generative Adversarial Network)」と呼ばれるディープラーニングを応用し、膨大な数の全身モデル画像をAIに学習させた。
それによって、この世に「実在しない」モデルを自動で作り出すことが可能となったのだ。
その成果が下の動画だ。
動画を見ると、モデルの顔や髪型、服装だけでなく、ポージングまで流れるように移り変わっていくのが分かる。しかしどのモデルもすべて存在していない人と言うから驚きである。
今後、AIは広告やアパレルのバーチャルモデルとして活用される予定とのこと。これを使えば、実際の撮影現場のように、わざわざ照明を焚いたり、ケータリングの弁当を用意する必要も無くなりそうだ。
しかし同時に、AIを用いた新技術には懸念の声も見られる。現実の写真と見分けがつかなくなると、情報操作や宣伝戦略において悪用されかねない。
正しき道での活躍が期待されている。