
Point
■質量の定義は、1889年に造られた『国際キログラム原器』という分銅が根拠となっていた
■5月20日に「キログラム」は「プランク定数」という物理定数を使って、未来永劫変わらない新しい定義へ変更。日常生活には影響なし
■日本もこの再定義には大きく貢献しており、欧米諸国しか関われなかった国際単位の定義で、初めてのアジア参加国となった
本日5月20日は国際計量記念日。
国際的な単位の統一を目的に、1875年5月20日に成立した「メートル条約」締結を祝う記念日だ。
2019年、この歴史的節目の日に、世界の7つの基本単位の内、「キログラム」を含めた4つの単位が新しい定義へと変更になる。
新定義は2018年11月16日にフランス共和国・ベルサイユ国際会議場において第26回国際度量衡総会において採択されており、本日適用の運びとなる。これは日本では国際度量衡局より発表されている。
https://www.bipm.org/en/measurement-units//
不安定な重さの定義 『国際キログラム原器』

『キログラムは質量の単位であり、国際キログラム原器の質量に等しい』
これが今までの1キログラムの定義だ。
国際キログラム原器のオリジナルは、フランス・パリの「国際度量衡局」にある。
ナチス・ドイツでさえフランス侵攻の際、ここだけは立ち入らなかったと言われるくらい、国際的に重要性が認識されているものだ。
しかし、キログラム原器のオリジナルは製作時より50マイクログラム(1キログラムの1億分の5)ほど、重さが変わっている。
これは同時に作られた原器の兄弟と比較して確認された事実だ。定義がこれでは非常にまずい。
しかし、新定義によって既にある1キログラムから重さが1%でも変更されることになってしまっては、世界に混乱が起きる。
食品はよく当社比5%増量などとやっているが、国際単位ではそうはいかない。
そのため、科学雑誌ネイチャーも、このキログラムの定義改定を、物理学で最も困難な取り組みベスト5に選んだほどだ。