北欧では自殺が多いといわれています。しかし、WHOの調査をみるとそれが都市伝説であることがわかります(フィンランドは微妙ですが)。自殺にまつわる都市伝説を語るなら、北欧ではなく東欧のほうがよさそうです。
下の図は、ヨーロッパにおいて1年の間で10万人につき何人が自殺するのかを国別に示しているものです。
WHOのデータは年齢調整がされています。つまり、数字は「各国が同じ年齢構成である」と仮定されて導き出されたものであり、これにより正確な比較が可能となっています。
上の画像では、東欧諸国において特に高い数字がみられます。これには様々な原因が考えられますが、一つの要因として、ソ連が崩壊したことによって社会主義体制から自由主義経済に変わり、所得格差が広がったことが挙げられます。
ヨーロッパ以外の主な国の数字は次のとおり。
アメリカ:12.1、中国:7.8、インド:21.1、ブラジル:5.8、日本:18.5
次に、下の図は女性の自殺者数を1としたときの男性の自殺者数を表しています。
興味深いことに、ほとんどすべての国で、男性の方が女性よりも自殺率が高いことがわかっています。逆に女性の方が男性よりも自殺率が高いのは、バングラデシュ、中国、インドネシア、イラク、パキスタンだけ。中国に関しては、その理由の一つに「外婚制」が挙げられ、「嫁がよそ者であることで姑に迫害される」傾向が関係しているからだという考察もあります。
男性の自殺率で、一際真っ赤に目立つのはポーランドです。ポーランドは8.0といった高い数字を示しており、男性の自殺者数が女性の8倍であるということがわかります。ポーランドは非常に保守的な国で、男性は常に毅然とした態度を取ることが求められています。男性の自殺率が高い理由の考察の一つとして、その結果1人で抱え込む男性が多くなり、自殺に追い込まれているという説があげられています。
他にはマルタ共和国が15.9といった突出した数字を示していますが、これはマルタ共和国の人口が少ないためで、あまり参考にはなりません。
ヨーロッパ以外の主な国の数字は次のとおり。
アメリカ:3.7、中国:0.8、インド:1.6、ブラジル:3.8、日本:2.7
日本でも、男性の自殺率は女性の2.7倍と高い数字を示しています。一概にはいえませんが、保守的という点ではポーランドと似た傾向を持っています。今後は男女かかわらず、ともに生きやすい社会になるように、一人ひとりが意識したいものです。
via: jakubmarian / translated & text by nazology staff