謎の多い天王星のリング
天王星の環については1977年まで存在が確認されていなかった。
18世紀に天王星の発見者でもあるウィリアム・ハーシェルが輪の存在についても言及していたというが、当時の望遠鏡の精度で天王星の環を観測することは不可能であり、その後200年近い間、天王星の環を観測した者はいなかった。
そんな天王星の環には不思議なことにまったく塵を含んでいない。環を持つ惑星は土星の他、海王星などがあるが、いずれもミクロ(1000分の1ミリメートル)レベルの細かい粉塵を含んでいる。
天王星もリングの間には粉塵が存在しているのだが、主だった環が含む粒子は小さくともゴルフボール大のサイズがあり、細かい塵が見当たらない。
これはボイジャー2号の撮影により初めて発見された事実で、未だにその理由はわかっていないという。
今回の温度測定では、そんな天王星のリングが77K(-196℃)という非常に低温であることが確認された。
研究発表者であるモルター氏は天王星のリングに塵がない理由について、「何かが細かい塵を一掃しているか、全てがまとまって一緒になっているようだが、原因はわからない」と話している。
こうした特徴から、天王星のリングは土星などとはまったく別の理由で生まれたものだと考えられている。
これは惑星の重力に補足された小惑星が衛星に衝突した残骸か、天王星に近づきすぎて砕けてしまった衛星の破片、または45億年前に惑星が形成されたときの残骸などが考えられる。
ボイジャーによる観測撮影では、リングの温度測定は行われていない。そのため今回の研究は、リングが全て同じ原料からできているのか、それとも別々の由来なのかなど、天王星リングの歴史や構成を理解するために重要なステップだという。
太陽系の惑星は、色々とわかっているようで、実はまだまだ謎が多いのだ。
冥王星が惑星から除外されたなんてこともあったが、この不思議な魅力を持つ天王星のリングからも、我々を驚かせるような事実が今後登場するかもしれない。
果たしてウラヌスは男なのか、女なのか…? いや、そういう謎ではなくね。